休職した時、私の人生は終わったと思った。

自分がうつ病になっているのは薄々気がついていた。でもうつ病だって認めてしまったら、自分の人生がもう終わってしまうと思って、力を振り絞って出勤を続けていた。ついにもうダメだと観念して上司に「うつ病になったので休職させてください」と言った。

◎          ◎

うつ病になって休職している時、本当に辛かった。周りはちゃんと働いてるのに、なんで私は他の人みたいにちゃんと働けないんだろう。自分が情けなくて、世界で一番不必要な人間だと思った。そして自分の人生がこんなにも失敗しているのは全て私のせいだと思った。

私は人生に向き合うことから逃げて、就活を怠って、自分の気持ちを押し込めて、やりたくもない仕事をした結果うつ病になって退職することになった。

あの頃もっと考えていたら、大学時代のモラトリアムが一生続かないともっと早く気がついていればという考えが頭の中を回って離れてくれない。みんなみたいちゃんとした大人になりたくて、新卒で入った会社ではダメだったけど、次の会社ではしっかり働こう。そう思って焦って転職した結果、まさかの3ヶ月で解雇された。

休職、退職、解雇を立て続けに喰らって、私は「私一人では私の人生をなんとかする事はできない!!!」と気がついた。

◎          ◎

休職した時は一人でたくさん悩んで、転職して、そこも結局解雇された。私は会社を見る目がない。私は社会経験が不足している。そんな私には他人のアドバイスが必要だと思った。会社を見る目を養うため、そして今後の自分の人生をどうしていこうか考えるため、時間がある無職のうちにたくさんの人に会い、色んな話を聞いてみることにした。卒業してから一度も会ってない大学の先生に会いに行ったり、ボランティアに参加してみたり、美容院で髪を切られている時に唐突に人生相談をしてみたりした。

なんでネイリストになったんですか?なんで美容師になったんですか?どうしてボランティアをやっているんですか?どういう経緯で今のお仕事に就いたんですか?そのお仕事ってどんな感じですか?私今後どうすればいいと思いますか?

子供が産まれてからネイルを学び始めて今はネイリストとして働いている人もいれば、大学を卒業してフラフラして非正規雇用で働き続けてたらいつの間にか大学教授になった人もいて、美容院に勤めてたけど急に解雇された人もいたり。

今後ちゃんと就職した方がいいよ!と言う人もいれば、25歳まではフラフラしてても許されるよ!自分もそうだったから!と言ってくる人もいた。

たくさんの人に会って話を聞いてみた結果、意外とみんなちゃんとした人生送ってないかも……!失礼ながらそう思った。

◎          ◎

私の親をはじめとした周りの大人は大学卒業、就職、結婚、そしてまた働くという「ちゃんとした人生」を送っていた。だからこそ私は「ちゃんとした人生」を送るのが基準で、それに当てはまることのできない自分を認めることができなかった。

でも色々な人の話を聞くと、世の中には「ちゃんとした人生」を送っていないけれど、今はやりたい仕事に就けていたり、現状に満足している人が意外といるという事がわかった。もしかしたら私は人生を悲観するには若すぎるのかもしれない。まだ色々チャレンジしてみてもいいかな?

周りの人が羨ましい。ちゃんと働いていてすごい。なんで私はみんなができていることができないんだろうと思う。

休職した時、人生が終わったと思った。解雇された時も人生が終わったと思った。そんな私は、まだ全然立ち直ってないし、フラフラしている自分を情けないと感じている。でも、もうせっかくだし自分がやりたいことやってみたい。本当に納得できる人生を歩むために。親には迷惑をかけますがまあそこはドンマイということで。

◎          ◎

私は今、一度諦めた翻訳家という夢を叶えるため、まずは英語とフランス語の勉強を頑張っている。あとフランスにワーキングホリデーに行ってそのまま就職して3年くらいフランスに住みたい。

そしていつか人生がなんとかなって、過去の痛みなんて忘れて、周りの人に「私もうつ病になったり解雇されたりしたことあるよ」なんて平気で言えるような人間になるのだ。