私に自信をくれたのは美容やメイクではなく、失敗とチャレンジだった

「私らしさ」ってなんだろう。
私らしさを、私自身が一番知らないことが違和感だった。
メイクをすること?着飾ること?お金をたくさん持つこと?
世の中は決して答えを教えてはくれない。私自身が強くならないと、答えは見つからない。
社会人になって、自由に使えるお金が増えた。
地元より少し都会に住み始め、周りは煌びやかな人で溢れていた。ファッションビルの洋服はどれも素敵だし、百貨店にあるデパートコスメは自分を魅力的にしてくれそうに見える。
そんな中で自分が劣っているように見えた。洋服も、コスメも都会に染まろうと必死だった。初めてのボーナスで美容脱毛を契約した。仕事の忙しさに忙殺され、肌荒れが気になるとエステを契約した。ボーナス払い、数万円。最初は顔のエステだけだったが、気づいたら痩身エステやハイフもやっていた。エステで勧められたスキンケアも買った。
お金をかければちゃんと結果はついてきた。都会の街を颯爽と歩けるようになった。
見た目が変われば、自信のない自分がなくなると思っていた。
でも、心は弱いままだった。見た目にお金をかければかけるほど、「自分」という存在がどこにいるかわからなくなった。まるで、リストカットをしているように、心に悲しみが募っていくばかりだった。
悲しみを隠したくて、弱い自分から逃げたくて、美容や洋服にお金をかけ続けた。お金はどんどんなくなっていた。
虚しくなった。お金をかけて見た目を変えたって、私はどんどん弱くなっていく。
でも、お金をかけることをやめてしまったら弱い自分がえぐれて出てきそうで怖かった。
気づいたら、残っていたのは綺麗になるという自傷行為を続けた弱い自分だった。
私は、綺麗になりたかったわけじゃない。自信を持った自分を手に入れたかっただけだった。綺麗になるのはあくまで手段で、強い心が欲しかっただけだった。
SNSには、見た目はもちろん芯をしっかり持っていそうな女性がたくさん出てくる。
私はただ、そんな人になりたかっただけだった。
そんな人になりたくて、私はお金の使い道を知識や経験に変えることにした。SNSの広告で出てきたキャリアスクールに思い立って入会したのだ。
決して平坦な道ではなかったが、気づいたら心が強くなっていた。自分のことをちゃんと認めることができるようになった。私に足りなかったのは、見た目を綺麗にすることではなく、チャレンジする気持ちだった。
チャレンジすることが怖かった。リスクを取ることが怖かった。結果が出ないのが怖かった。知識や経験を積むことは、決して成功体験ばかりではない。失敗も、負けることも、時に心が弱くなることもある。
でもそれは、隠して逃げているのとは違う。自分に真正面から向き合って、失敗さえも経験に変えた結果が、本当の自信に繋がったのだ。
私の周りには、強い仲間がたくさん増えた。みんな失敗と成功を繰り返し、チャレンジを何度も繰り返していた。仲間に負けまいと、私もたくさん失敗と成功を繰り返している。
大人になると、チャレンジすることが怖くなる。子供の頃はあんなに転んでも立ち上がっていたのに、今では土がつくのも嫌になる。
強い人は、泥臭く努力を続けている。そんな人が世の中を、日本を、世界を変えるのだろう。私は世界を変えたいとか大きなことはまだ口に出すことはできない。
でも、私の周りにもし自信のない人がいたら、心の底から応援したい。あなたは十分頑張っている。だから自信を持ってたくさんチャレンジしてほしい。あなたが自分自身のことを嫌いと言っても、私は好きで居続ける。そんなエールを送ることができる人になりたい。
「私らしさ」ってなんだろう。
今でもうまく言葉にできないけれど、たくさん転んだ私は誇らしい。土をつけて笑ってる私が一番「私らしい」。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。