なんだ。みんな同じ人間なんだ。初めての海外一人旅で出会った感情

忘れられない光景がある。
それは、まだ肌寒い春先。澄み切った海沿いでカモメの群れに囲まれ、エサをやる男の子の姿と、それを見守る大人たちの朗らかな眼差し。
あの光景が、なぜか忘れられない。そこは高層ビルに囲まれ、弓のように美しいアーチの海岸線が特徴の、韓国、釜山(プサン)にある海雲台(ヘウンデ)ビーチ。私が人生で初めて海外に1人で行った場所である。
あの時なぜ1人で海外に行ったのかというと、『1人きりで見知らぬ異国の地に行ったら、私は何を思うのだろう?』という、ただの自分への好奇心からだった。
そんなちょっとした冒険者の気分で向かった釜山への旅。緊張の連続の中、着いてすぐホテルに向かい、荷物を置いて外に繰り出した。
時間はもうすぐサンセット。それまでにビーチへ行くんだ!!!と鼻息荒く、高層ビル群に見下ろされながら急いで向かった。そこで出会ったのが冒頭の光景である。色んな世代の人が笑って通り過ぎたり、立ち止まって見てる人も居た。ここは近所の公園か!とツッコミたくなる。
でも、周りは高層ビルで、みんな何を言っているか分からないし、大群のカモメにエサやりしてるし…。見たことがない光景と、異国の人間への親近感。あの時おそらく私は安心したのだと思う。
なんだ。みんな同じ人間なんだって。
異国に来て、緊張していた心が一気に解れた気がした。旅は、いつだって私に初めての感情をくれる。
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