私を世界で一番幸せな女性にさせてくれたカンボジアのとある村がある。

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3時に鶏の声で目覚める朝により、6時から子どもの声で自然に体が動き始める。1日を砂まみれになりながら過ごす。
夕方にはハンモックのあるcafeに行き、蒸し暑さによく合う涼しい風を感じながら、練乳の入ったコーヒーを体中にしみ込ませる。締めには残った練乳を楽しむためのジャスミンティーを混ぜる。

自転車に乗る子どもたちの、輝きのある珍しい日本人への好奇の視線と目が合う。微笑むと微笑みがってくることで、笑顔にどれだけ価値があるかを確認する。
時に牛に触れながら、あまりにも綺麗な夕陽を見つめながら。

水道もガスもないその村ではお風呂は井戸水で済ます。カエルが泳ぐ雨水が混ざった井戸水を浴びる。日中の火照った暑さで困憊した体にひんやりを超えた冷たさの水が心地よい。
竹でできた高床の寝床に戻り、硬く風通しの良い床の上でゆったりと眠りにつく。

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それだけの時間が私を誰よりも幸せにした。

もので溢れた世界だからこそ、余白のありがたさを知り、それがどれだけ人を豊かにするかを感じることができる。

日常の中で苦しさを感じたときには、目を閉じてカンボジアの村を思い出す。
そこには私の心が安らぐ場所がある。