結婚・出産した友人に「自由でいいね」と言われ私と彼女が感じること

わたしには、旅するように生きている友達がいる。
彼女とはワーキングホリデー中にカナダで出会った。わたしと似ている部分があるのに、真逆の「何か」をもった彼女に強く魅かれて、帰国後もわたしの方から連絡を続けた。
久しぶりに会いたいと誘うと、「そのときは引っ越ししてる予定で、その後も海外に行くから、会うならこの日まで!」と返事がきた。そのエネルギッシュさが魅力なのだけど、それにしても驚いた。
彼女は手に職があるのでその生き方ができるのだが、同じ場所で長く働かないことに、世間は「ふらふらしている」と思うかもしれない。でもわたしは、彼女の生き方にむしろ一本の軸を感じる。「人にどう見られるか」より「自分がどうありたいか」にここまで忠実な人、見たことない。こっちの方が難しい気もする。
彼女もわたしも、世界中のいろんな景色を見て、いろんな人に出会って、もっとワクワクして生きていきたい。でも、彼女の方が迷いなく、自由に進む力強さがある。
そんな彼女は旅行中、とんでもないトラブルに遭遇している。南米では暴動に巻き込まれたり、クレジットカードを無くしたり……。わたしなら神経がすり減り、身動きが取れなくなるようなことばかりだ。
でもいつも、彼女は笑顔で切り抜ける。「笑ってる人には、自然と人が寄ってくる」と、彼女は生き方で教えてくれている。
しかしそんな彼女も、30代を迎えてカナダから帰国したとき、周りが結婚や出産を迎えていて焦ったらしい。そこからアプリでいろいろな人に会ったという。しかしお互いに相手を見定めている雰囲気があることに、窮屈さを感じたそうだ。
「自分が時間を費やしたいことは、もっとほかにある」。婚活をして、自分はどう生きたいかが見えてきたと話してくれた。
わたし自身、そこにまだまだ迷いがあり、軸が定まっていないことに弱さを感じていた。
しかし、何事においても「なるようになるさ」で進める彼女でさえも、ここだけは真正面から向き合ったのだ。それくらい、女性にとっては世間の目やライフステージの変化は無視できないことなのだと知れて、少し安心した。
しかし「出産」についてはリミットがあるシビアな問題。それについても彼女は「産まなくても、子育てはできる。そしてわたしは、きっとその子を心から愛せる」と自信を持って言っていた。
一度きりの人生、「今」をどう生きたいかを大切にする彼女の姿が、よりまぶしく見えた。
わたしよりも力強く、そしてちょっと先を行く彼女。だけど、お互いに共感できたことがあった。それは結婚して出産をした友人から「自由でいいね」と言われることに、モヤッとしてしまうということ。
「自由」を選んでいるということは、置いてきているものがある。わたしも彼女も、自分の進みたい道を歩いている中で、これからを歩んでいる人と出会えたらいいなという気持ちはある。
わたしが今まで一人で胸の中にしまい込んでいた言葉。同じことを彼女も抱いていることを知って「一人じゃない」と思えて心強かった。
やりたいことに忠実に、そして明るく前向きに進む彼女の周りには、いつも人がいる。きっと彼女はこれからも一人じゃない。特定の誰かと二人で進む道だけが正解じゃない。そう背中で語ってくれている気がする。
同じような価値観を持って楽しみながら自分の道を進む存在を知れて、わたしも前より強くなれた。どうせ進むなら、彼女のように笑顔で進みたい。
わたしたちが、誰かにとっての強さに変わることを信じて。
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