私の強いところは、地元や友達に流されなかったところである。周りから褒められることもなかなかないので、あえて自分で褒めてみようと思う。

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大学生のとき、私は就職を関東で決めた。就職活動も関東を拠点しており、地元から頻繁に出向いていた。私の地元は関東から新幹線で移動しなければいけない場所にある。地域も違うので、旅行には行くけれど、わざわざ住もうとは思わない人も多い。

周りで誰かが住んでいたら便利だな、と思うくらいだ。大学も地元の、実家から通えるところに通っていた。大学受験に失敗して、通える大学がそこしかなかった、というのが最もな理由だが、通ってみて後悔はしていない。

同級生も自宅から通っている人が殆どを占めており、就職先も地元から遠くない場所で決めている人が多かった。そんな中私は、はじめから関東に的を絞り、就職先を探した。

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いつから決めていたかというと、大学1年のときにはぼんやりと視野に入れていた。地元で働くことはないだろう、と思うくらいには。大学に入ったとき奨学金を借りたのだが、借りた先に就職して、借りた年数分だけ働けば返済を免除されると言われていた。

だが借りたものの就職する気はなかった。就職しなかった場合、一括で返済しなければならず、できるだけ使わないように学生生活を送っていた。就職活動を始めたときは、はじめの頃は友人と地元のインターンに参加したこともあったが、就職先を絞るにあたって一人で関東に行き、合同説明会に参加したこともあった。

仲の良かった友人たちは、地元で就職を考えていたことや、積極的に動くには一人で行動したほうが良いだろうと思い、一人で参加した。興味のある分野や、聞いたことのある会社のパンフレットを集めて、夏休みにはインターンに参加した。

学校や就職支援で関わっていた人にこのことを話すと、とりあえず驚かれた。すごいですね、行動力ありますね、などと言われる。当時は、やりたいと思ったことをただやっていただけなので、大変だともすごいことだとも思わなかった。むしろ楽しささえ感じていた。就職活動もしていたけれど、結局は大学の先生が教えてくれたところで就職を決めた。もちろん関東で。念願の関東での内定にとても嬉しかった。内定者の集まりで上京する予定があると心を踊らせながら新幹線に乗った。

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4年になれば卒論や試験などやることは山積みだ。授業が終わってすぐ新幹線に乗り、内定者の集まりに顔を出し、ホテルに泊まって、翌日の午後にある大学の授業に出席する、というタイトなスケジュールがあった。そんなときも私は浮足立っていて、忙しいことに幸せを感じ、楽しくこなしていた。

女性だから地元に残るべき、だとか、女性だから一人暮らしはしないほうが良い、と思う親世代は多いかもしれない。一人暮らしも近場ならさせてもいいけど、という考えもあるだろう。

しかし、私はそんな考えをはねのけた。社会人になるということは、私自身で生活をすることだ。どこに住んで何をしても私の自由だろうと思った。友人たちはみんな地元で就職を決めたけれど、私は一人、関東で就職を決めた。やりたいと思ったことに積極的に行動を起こし、得た結果だ。満足している。

行動を起こしているときも楽しかった。私の気持ちに正直になれている感覚。私が私としてイキイキしている感覚があり、願っていたこと、やりたかったことが現実にできている充実感もあった。大学生活の後悔のなさは、この点も関係していると思っている。

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本当はやりたいことがあるのに、家や親、友達のことを考えて尻込みしているのなら、自分自身がどう思っているのかを考えてみるとよいだろう。私はどう動きたいのか、心に濃く存在しているのなら、一歩でも進んでみることをおすすめする。私だからやってはいけないんだ、我慢しなければいけないんだ、と思う必要はない。

私は社会人になるというタイミングがあった。逃してはいけないチャンスが目の前にあると気づいたとき、絶対に逃さない、と心に決めて自分だけの極秘計画を立てた。親や友人に相談する前に進路を決めた。いつ親に打ち明けたかは覚えていないくらい、自分の思いだけで進んでいた。結果、後悔はしていない。

これが私の強いところ。本当に夢中になって実現したことは、満足感すらくれる。誰でも、胸のうちに秘めている思いがあるだろう。実現できるほどの強い気持ちは持っているはずだ。私だけでない。きっと私たちの強いところなのだと思う。