私は、中学生の頃から、28歳になる今まで何度もダイエットとリバウンドを繰り返してきた。最初のきっかけは、クラスメイトからの体型に関するからかいと、華奢な友人と一緒に写った写真を見て、自分の身体に危機感を感じたことだった。

当時の体重は、実際には健康的で標準的な範囲だった。
痩せなきゃ、と思う必要もなければ、からかいや、指摘をしてくる人たちの言葉を鵜呑みにする必要なんてなかった。

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それでも当時の私は、太っているから、からかわれるのだと思っていたし、太っている自分が悪いと思っていた。ダイエットに成功して痩せると、周りから褒められ、洋服や髪型も楽しめるようになり、人生がうまくいき始めたような気がした。自信がついて、外に出ることや人と話すことが楽しめるようになった。

でも、私はもともと甘いものが大好きで、美味しい食べ物に目がない。運動は積極的にやるほど好きではない。家でドラマを観たり、本を読んだりすることが至福の時間だ。だから、ダイエットという一時的なイベントが終わると、すぐに元の体型に戻ってしまう。うつ病で薬を飲んでいた時期は、体重が急激に増えた。

ダイエットの成功により、私は痩せること=可愛くなれる、人生がうまくいく、という価値観を強く持ってしまった。体重が増えることが恐ろしいものになり、増えるたびに自信がなくなった。太ってしまうと、洋服も体型も隠すものばかりになり、外出するのが嫌になった。自分の姿に恥ずかしさを感じるようになり、引きこもりがちになった。

だからこそ、私は何かを始めるたびに、まずは最初に「痩せなきゃ!」と思っていた。そして、それがうまくいったとしても、ストレスや楽しいイベントで体重が戻れば、また元通り。まるで体重、体型が人生の中心にあるかのような日々だ。

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そんなある日、一昨年の夏、YouTuber主催のイベントに参加した。
美容系の発信もしている方ということもあり、イベントにはおしゃれな人たちが集まっていた。皆、積極的に話しかけ合い、楽しそうにしていたが、私は、どうしてもその輪に入れなかった。参加者の中で、ひときわ目を引く女の子がいた。可愛くて、おしゃれなその子は、決して細くはなかったけれど、堂々と腕やお腹を出した服装して、楽しそうに笑っていた。

私は、その姿に強い衝撃を受けた。と同時に、自分にも自信が持てず、体型を隠して地味な服装を選び、他の参加者たちに積極的に話しかけることができない自分が情けなかった。

そして、その場を後にしてしまった。お目当てのYouTuberが登場する前に。

帰り道、自分のあまりのみじめさに涙した。私は、あの場所で本来楽しめたはずの時間を、自分に自信がなかったせいで逃げてしまった。悔しかった。
いつの間にか、自分自身に対してだけでなく、他者に対しても、体型や外見で判断する私になっていた。

その後、また「痩せたらきっと」と自分を誤魔化しながらパーソナルトレーニングを始めた。痩せれば自信が持てる、と思ったから。

でも、本当は心のどこかで気づいていた。
私が本当になりたいのは、痩せて細くなることではなく、どんな体型であろうとも、自分を大切にして、美味しそうなものを美味しそうに食べて、好きな服を、好きな髪形を楽しんでいる自分だと。

それから、私は自分と似た体型のまま、人生を楽しんでいる人たちを積極的にSNSでフォローしたり、ボディポジティブという考えに触れるようになった。その言葉には、心がふっと軽くなるような力があった。

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今も、痩せなくてもいい、という考えを理解しつつも、テレビを見れば、細い女性たちが画面に映り、ダイエットの広告が毎日のように目に入る。社会的に「細いことが美しい」という価値観が根強く残っていることに、どうしても心が揺れてしまう。

でも、私が本当に求めているのは、きっとそういった表面的なことではない。痩せたからすべてうまくいくわけではないし、あのイベントで自信に満ち溢れたあの子のように、自分を大切に自信を持って楽しんでいる姿こそが、私の理想なのだと思う。