一人で気楽に働けるリモートワーク。だけど私は逆に不安を感じる

私はリモートワークをしたことがない。
厳密に言うと、コロナが猛威をふるっている最中、在宅勤務を命じられたことがあった。しかし、職種柄、自宅でできる仕事などなく、実際に与えられた業務は、今後の計画を練るというもので、その案も次第に尽きてしまい、3日程で幕を閉じた。
私の中でリモートワークをしている人=パソコンのエキスパートというイメージがある。パソコン1つあれば、場所を問わず仕事ができるなんてかっこ良いな、スマートだなという印象がある一方で、自分は色んな意味でリモートワークは向いていないだろうなと思っている。
まず、私は自宅で仕事をすることに抵抗がある。私の中で自宅=最もリラックスできるプライベート空間という認識があり、それが仕事場に化してしまうのが、どうも受け入れ難い。物理的に仕事場とプライベート空間を分けたいし、そうすることによって、気持ちの切り替えもしやすいと考える。
自宅が仕事場の場合、通勤しなくても良いというのが最大のメリットだと思うけれど、私は自宅と仕事場がある程度、離れている方が良い。自宅を出て、職場へ向かうまでの間に心のスイッチを仕事モードへと切り替えるためだ。もちろん、職場があまりにも自宅から遠すぎるのは現実的ではないけれど、気持ちを切り替えるために、私にとって適度な通勤距離が必要なのだ。
リモートワーク=一人でも仕事が可能なイメージがある。もちろん、必ずしもそうではないだろうけれど、リモートワークは、職場に出勤する場合よりも、人と関わる頻度が少ない気がする。一人で気楽に仕事ができて、一見良いように思うけれど、私は逆に不安を感じる。
特に仕事に慣れないうちは、本当にこのやり方で良いんだろうかとか、この進捗度合いで間に合うのだろうかとか、ささいな不安が募る。周囲に人がいる場合、あえて口に出さなくても、周りを見渡すだけで、なんとなくその不安が解消されることもあるけれど、一人で黙々と仕事をしているとなんだかやり場がなく、悶々とすることが予想される。もちろん、リモートで誰かに相談したり、会議をすることも可能だけれど、やはり、画面越しに人と会話するのと、対面で会話するのとでは、心象もおのずと違ってくる。
それに、休憩時間等に、ちょっとした世間話をしたりするのも、程良い息抜きになって良いと思う。
リモートワークで気がかりなのは、孤独の他に運動不足もある。リモートワークで長時間座りっぱなしでパソコンと睨めっこするのは、正直、あまり体に良いとは思えない。出勤が必要な仕事であれば、嫌でも体を動かすことになるので、軽い運動になってちょうど良い。
私はリモートワークは向いていないだろうけれど、働き方の選択肢としてリモートワークが誕生したことは非常に良いことだと思う。例えば、育児や介護、その他、様々な事情で出勤するよりも自宅で仕事をする方が便利が良いという人もたくさんいると思う。それに、自分もいずれそのような立場になる日が来るかもしれない。それぞれの特性や環境によって多様な働き方が選択できる時代に進みつつあるのは前向きに捉えられたらと思っている。
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