コロナ禍以降、リモートワークの整備がすごく進んだと思う。かくいう私も、入社式の後パソコンが配られてログインの確認をして、次の日からは自宅での研修となった。くたくたになりながら満員電車に揺られることも、電車の遅延で遅刻の心配をすることもない、この環境は確かに素晴らしいものだと思う。どこでもお仕事ができるし、休憩や合間にちょっとした家事や宅配の受け取りもできる。お仕事と日常の境があいまいになることで、軽減されるストレスも確かにある。でもその一方で、お仕事を始めて間もない私には、この素晴らしい環境だからこその不安とストレスがある。

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それは、コミュニケーションがとりにくいことだ。ちょっとした確認や状況の共有など、対面でならほんの数分の会話でできるはずのことでも、文章を考えて、内容や説明の順番は正しいか(伝わりやすいか)、敬語や誤字脱字、ちょっと考えただけでも気を付けることはたくさんある。そして、その前の段階として、これを質問してもよいのか、自力で対応した方がよいことなのかを決めるまでにもさらに時間がかかる。

悩んでいても時間はたってしまうし、対応すべきお仕事が減るわけではない。お仕事の内容にも、リモートワークのコミュニケーションにも慣れていない私は、とにかく時間がかかってしまい、注意されることも多かった。リモートワークで業務時間が多くなって注意される。そんなことが繰り返される中で、私は悩むことはお仕事が終わったあとに考えるようになった。明日、相談すべきかどうか、相談するならどんな文章を送るか。そのいったことを、お仕事が終わったあとの食事中や寝る前までずっと悩み続けてしまった。もちろん、お仕事が好きでそんな風に考える時間が楽しいなら問題はないかもしれない。でも、もともと根が真面目な私には、そんな風にずっとお仕事のことを考えているのは、すごく辛い状況だった。

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そして、ふと緊張切れてしまった日に、会議中にうまく発言できなくて、上司に個別に声を掛けられた。お仕事のことで頭がいっぱいで、でもそんなことで悩んでいると知られることへの恐怖もあり、何度もつっかえながら質問する内容を考えるのが辛いと伝えると、私のつたない説明をちゃんと理解してくれて、内容にかかわらず、発言して相談できる時間を設けてくれた。ほかの人ができることがうまく出来ないことでダメな奴、と決めつけていた私には、その対応がすごくありがたかったし、向き不向きは当然あって、助けあいながら進めていけばいいのだと言ってもらったのは、本当にほっとした。

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出社かリモートワークか、どんな風にお仕事をするかは、生活に大きな影響を与えるから注目されがちだが、どちらであってもお仕事の本質は人間同士のコミュニケーションだと思う。それぞれの個性や性格がうまくかみ合ってお仕事が成功するみたいに、出社時の対面でのコミュニケーションと、リモートワークでのチャットのコミュニケーション、それぞれの良さを生かしながら、楽しくお仕事に携われるように成長したい。