私は人と接することが苦手だ。
そんな私だが、リモートワークはあまりやりたいと思わない。出来れば出社したい。

私はもうすぐ社会人4年目だ。新卒で入った会社に勤め続けている。
所属している部署はリモートワークに対応してはいるけれど、私はやったことがない。新型コロナウイルス禍がピークだった頃は比較的多くの社員がリモートで仕事していたようだが、私の研修が終わった頃にはその波は収まっていた。
今でもリモート勤務がある社員もいるけれど、育児や介護、体調の都合による人ばかりだ。この部署の仕事はリモートで出来ないわけではないのだが、皆が皆リモートにしてしまうと残った数少ない出社している人が大変になってしまう。だから理由のないリモート勤務については、拡大される動きはない。

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正直、リモートワークを経験してみたい気持ちはある。この仕事を家でやるってどんな感じなんだろう、とは思う。
でももし「完全リモートワーク」と「完全出社」のどちらかを選べと言われたら、私は絶対後者を選ぶ。

冒頭で述べたとおり、私はコミュニケーションをとるのが苦手だ。学生時代に接客業を経験しているので全く話せないというわけではないのだが、上手に他人と距離を縮めたり、さりげなく気遣ったり、ということが出来ない。
それならリモートワークの方が向いているんじゃないか、と感じた方もいるだろう。それが自然な考え方だと思う。しかし、違う。こんな自分だからこそ出社したいのだ。

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対人関係が苦手な仲間なら分かってくれる方もいると思うのだが、私は会社や慣れない場所でのコミュニケーションを「型」で捉えている。この環境では自分と同じくらいの年齢・立場の人はこう振舞っているのだ、という型が分かれば、一気に人と話すのが楽になる。あくまでその型のなかにおさまった言動をしておけばいいからだ。

そして私は今の会社にもう丸3年いる。型は大体つかめている。会社での私は、同年代の女性社員に倣った振る舞いをしている。

まずは真摯に仕事に取り組み、声は明るくにこやかに、今の年次らしい謙虚さと傲慢さを使い分けながら、基本的には何事も素直に受け止める。
私にしては、なかなか上手くやれていると思う。もちろん、元々コミュニケーション能力が高い人には遠く及ばない。あくまで「私にしては」だ。

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コミュニケーション苦手人生を長く送ってきたので、正直、惚れ惚れしてしまっている。えーっ、私にしては良いじゃん、普通の女性会社員っぽいじゃん!と。26歳にもなって自分に求めるハードルが低くて恥ずかしいが、そういうわけで会社で過ごす時間をあまり苦痛に思っていないのだ。

この型によるコミュニケーションが通用しない職場もあると思う。職種や環境、人間関係次第では、私もリモートワークを強く望む側になっていたかもしれない。また、この先人生のステージが変わることがあれば、別の理由でリモート勤務を求めるようになる可能性もある。
とりあえず、恵まれた現在に感謝しつつ、しばらくは引き続き出社ライフを謳歌しようと思う。