メディアやSNSで取り上げられる女性の性被害について、そんな話を聞くと、思わず顔をしかめてしまう。きっと、見えないところで苦しんでいる女性はたくさんいて、彼女たちがSOSの声をあげられる日が一日でも早く来るといいな、と思う。女性の社会進出やジェンダー平等を重視する世の中になっているのに、今でも女性を「弱い」立場として扱い彼女らの尊厳を平然と奪えるような人たちがいることに呆れる。

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そんな事実に反して、私の周りの女の子たちは強いと思う。ときどき、男の人と接していても従来の女性像を抱いている人は多く言葉の端々でそういう価値観を感じ取ってしまう。逆に、私の印象では女の人の方が自立心が強い人が多い。

かつて私が通っていた英会話教室の講師は英語圏以外の国からも来ていて、その中には私より少し年上アルバイトで英語を教えている子がいた。ポーランド出身の彼女は当時、偶然にも私の大学に交換留学をしていた。そして、数ヶ月後に私が留学することが決まっていたため、留学の準備や留学についての話をよくしていた。彼女の帰国と私の留学のタイミングで私たちは英会話教室を離れ、現在は二人とも日本で暮らしている。彼女は日本での留学を終えたあと、母国に帰国しビザを取得し日本に戻ってきて少し勉強したのち、今は兵庫で働いている。

今年の正月に私たちは約2年ぶりに再会したが、そのときにはすでに、違和感のないアクセントで日本語を話していた。ビザを取って頼れる人のいない異国の地で、自分の力で生きていくことは純粋にかっこいい。そう簡単に成し遂げることでは決してない。私は彼女にいつかポーランドに帰るのか、と聞いた。すると、自分のやりたいことができるまでは挑戦したいと言っていた。

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私も、海外で働いてみたかった。留学を経てその想いはいっそう強くなった。しかし、海外で何の経験もなく働くのはリスクのあることだと思う。きっとどこかの外資系企業に就職して海外エリアの職を探すしかないのだと思う。二十歳を越えると結婚して子供ができてもおかしくないこの歳に、自分の夢や目標を追いかける。それは大きな決断で、私には眩しかった。お互いの今年の目標を語り合った。彼女は社会人だから会うのは難しいと思うけれど、日付を合わせて夏休みくらいに会いに行きたいと思う。

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私は、社会に出ていないから分からないし、研究室でも安心した環境で「どうしようもない」状況に出くわしたことはない。一人で抱える前に然るべき機関に相談するだけでも変わるのだろう。私は人形じゃない。一人の尊重されるべき人間だ。これまでもこれからも私は、強くて美しい、尊敬してやまない彼女たちを参考にするのだと思う。