彼は変わってしまった。でもあの時の大好きだった彼には感謝してる

私が高校2年生の時、学校でも人気だった彼氏と付き合った。高身長でイケメンで学力もある人だった。付き合った嬉しさももちろんあったし、この人が私の彼氏なんだと優越感みたいなものに浸っていたと今は思う。
彼の方から連絡をくれて、長らく友達以上恋人未満のような期間を過ごして、晴れて付き合うことになった。元々彼のことを好きだったわけではなく、ただかっこいいなと思う存在だった。軽い気持ちで付き合い始めて、付き合っていくうちに、彼に何度も助けられることになるとは思っていなかった。
お互いバスケ部に所属していて、3年生が引退した2年生の夏にお互いキャプテンになった。彼は、中学生の時もキャプテンをやっていたこともあり、キャプテンという立場になんの迷いも躊躇いもなかった。でも私は初めてのキャプテンだった。
初めはやる気に満ち溢れていた。しかしだんだんとチームをまとめる難しさに逃げ出したい気持ちが芽生えていた。そんな時、救ってくれたのは親友でもチームメイトでもなく、彼だった。
毎日私の愚痴を聞いてくれて私をなだめてくれた。同じ立場の彼が頑張っているということ、彼が支えてくれることがいちばんの励みになり、やり切らなきゃという気持ちを奮い立たせた。
高校3年生の冬、部活も引退となり受験勉強真っ只中となった。私は看護学部に進学するために猛勉強に励んでいた。彼は、理学療法士になりたいという夢があったらしく、お互い励まし合いながらセンター試験をむかえた。
私はセンター試験では思うような成績を残せず、第一志望の大学に合格できる確率がほとんどなかった。第一志望の大学は諦めて、私立の大学に行かなくてはいけないのかとひどく落ち込んだ。
彼は優しく話を聞いてくれると思っていたので、彼に弱音を吐いた。彼は、「今まで頑張ってきたのは俺が知ってる。諦めて後悔しないの?可能性は0なわけじゃないよね?諦めたら俺が許さないよ」と私に言った。
私は驚いて、言葉が出なかったが、この言葉のおかげで私は諦めずに第一志望に合格することができた。彼は第一志望には落ちてしまい、驚いたことに同じ大学の同じ学部に入学することになった。とても嬉しかった。あの時諦めてなくてよかったと心から思った。
大学に入学してからは、一緒に登校したり遠出をしたり充実した学生生活を送っていた。
しかし、半年も経つと徐々にすれ違うようになってしまった。看護学部は男子学生が少なく、彼に好意を寄せる女子が現れ始めた。
それでも、彼は私のことを第一に考えてくれて、大切にしてくれると信じていたが、私の不安は的中した。彼は複数人の女子に手を出していたことが発覚し、私は別れを切り出した。別れを告げた時も驚くほどにあっさりしていた。別れたことも悲しかったが、何よりもあの時好きだった誠実で優しかった彼ではなくなってしまったことが悲しかった。
今、私はご縁があり職場の方に紹介してもらい結婚ができた。大学生で彼と別れた時は本当に辛くて、恨むような気持ちもあったと思う。でも、今こうして幸せでいられるのはあの時彼に辛い時に慰めてもらったり喝を入れてもらったりしたおかげだと今なら強く感じることができる。
彼はいつしか変わってしまった。もうあの時好きだった彼はいない。でも、あの時好きになった彼が私と一緒にいてくれた奇跡にとても感謝をしている。
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