このエッセイを書き終えたら、会社に辞意を伝えようと思う

私はこのエッセイを書き終えたら会社に辞職の意思を伝えようと思っている。
我ながら嘘であれとも思うが、本当だ。もう決めてしまったのだ。このまま悩み続けて今の会社に居続けるくらいなら、こうして何かのタイミングで半強制的に辞職を伝えないと何も変わらないと思う。
私は今の会社に入ってまだ2年目の新人。なのにも関わらず、もうやめると言うことには一応訳がある。その理由は躁鬱だ。入社前から躁鬱は持っていたのだが、この会社に入社してから凄まじいスピードで悪化してきたのだ。厳しい職場環境に加え毎日12時間勤務。自律神経なんてバグるバグる。
もはや労基に引っかかるのでは?と思うがその分公休の数は多い。そのため労基にも引っかからずにいるのだろう。仕事は楽しいし、みんなもいい人だった。だが、レベルが違いすぎた。わかりやすく言うと今まで草野球チームにいたのに、軽い気持ちでプロ野球チームに加入してしまった、くらいの差である。もちろん自分で踏み込んだ世界ではあったが、ここまでの差だとは思わなかった。だが、そんな世界に内定をもらえるなんて奇跡でしかないし、せっかくのチャンスだから、やってみようと飛び込んでみた。
入社したのが去年の春。そして病んで休職したのが今年の正月。いや笑えなすぎる。でもここまでくると面白い。病んだ原因を挙げるとたくさんあるのだが、大きなきっかけとなったのはパワハラ上司の存在だろう。何をするにも怒鳴られ、ひどい時だと、死ねば?とまで言われた。しかしこの人は私だけではなく、今まで他の人たちにも同じことを繰り返してきていたのだ。
俗に言う新人いびりの老害。こんな老害に負けてたまるか、と踏ん張り続けていたのだが、周りの仕事のレベルの高さに追いつけない自分、老害に怒鳴られても何も言い返せない自分に嫌気がさしてきて、気づけば体重は8キロも落ち、見るからに痩せ、ある日突然出勤できなくなったのだ。
約3ヶ月の休職期間を経て、戻っておいでよと社長から声をかけてもらったのをきっかけに今年の4月に復帰した。復帰したはいいが、一昨日の朝、また突然仕事に行けなくなった。何かきっかけがあったわけでもないし、なんなら出勤しようとメイクして、服を着替えて、あとは靴を履くだけのところまで行ったのに足が動かなかった。その時私は「あ、限界なんだな」と気付き上司へ休みの連絡をした。
それから自宅でカーテンを締め切り、真っ暗な中1人で考え続けた。この会社に居たいのか?転職したいのか?この会社に居続けてメンタルは安定するのか?考えた結果が退職だった。母にも相談し、友人にも相談したがみんな口を揃えていったのは「やめなよそんなとこ」だった。確かに給料もいいし、福利厚生もいい。普段見られない世界が見れるし、そこにいれば確実に新しい経験ができる。でもどうだ?自分の精神を壊してまでそこにいる意味はあるのか?転職したら今より年収は下がるかもしれない。でもお金より今は自分の健康が一番じゃないか?
だから辞めることにした。社内の人間から見たら、入社2年で逃げたと思われるかもしれないが、だからなんだ。上等だよ。私は私の人生を生きているんだ。周りの声なんか気にしない。私が心穏やかにいられる場所を探すんだ。この会社は退職することにしたけど、入社して良かったと心から思う。もちろんしんどいことの方が多かったけど、こんなにもがむしゃらに仕事に本気で向かうことができたのは、背伸びをして入社したから。あの時入社を決めた私に感謝している。
今から上司に連絡して近いうち退職させてもらおうと思っている。次の仕事も決まっていないし、何をしたいかも分からない。でも彼氏もいないし、幸い借金もない。多少の貯金はある。本気でやばくなったら恥を偲んで実家に泣きついてやろうじゃないか。私の人生、私が好きに生きなきゃ。誰も代わりはいないのだから。
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