酷い上司がいる会社に勤めていた。
労基で「なんでそんな酷いことを……」と言われるような会社を辞めた(酷い会社に興味がある方はこちらのエッセイ「昭和生まれの同僚は、サービス残業が当たり前。会社も評価しないのに」もどうぞ)。

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入社して間もない、まだ自己判断で仕事ができなかった頃。
上司(女)に言われた仕事が終わったので、「次何をしたらいいですか?」と聞くと「あたしも今仕事してるから~」と言われた。
「は?部下に仕事の指示を出すのもあなたの仕事ではないのですか?」と言いたくて仕方がない口を、なんとか止めた。
閑散期はシフトが削られ、早上がりもさせられ、極限まで給料を削られる。
逆に繁忙期は朝起きてすぐに出勤し、最終に間に合うギリギリの時間で帰っているにも関わらず、「もっと残れないの?」と言われる。
「交通機関がなくなるので、タクシー代出してくれるなら残ります」と答えると、「帰れ」だと?ふざけんな。

その上司は、執拗に1人暮らしを勧めてきた。
嫌味かと顔を引きつらせつつ「この給料では無理です」と言うと、「家賃3万ぐらいのとことかあるよ!」と言う。
どんなボロ屋に住めと言うのかコイツは。ちなみに、上司は40代女でDINKs。この上司はかなりガラの悪いところで育っており、学生の頃に男と同棲するためさらにガラの悪い地域に移り住む人だった。
別にそれが悪いことだとは思わないけれど、全然求めてもいないのに、不必要な勧めは慎んでほしかった。

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それからも、私の家をGoogleマップで見たんだとか、初めてわたしの顔を見たときに「ブサイクと思ってごめんね」と言ってきたり、不可解な発言が多かった。
さらに、彼女は出勤日に連絡を一切せずに会社に来ないなど酷い勤務態度で、クビにならないのが不思議だった。
ぶっちゃけ、在職中のクレームで一番多かったのは彼女への文句ではないかと思う。

こちらのエッセイ「この社会で生きづらいと思うのは私だけでない。エッセイがくれた元気」でも書いたように、わたしは職歴がボロボロ。
職歴以外、その会社でほしいものはなかった。
だけど、結局辞めた。
結果、わたしは職歴をまた1つ、履歴書に連ねるハメになる。
また成長できなかった自分を責めた。

ところが、退職後に必要書類が送られてこない。
本来、会社は従業員の退職日から10日以内にハローワークへ手続きする義務がある。
ハローワークから確認請求(会社に離職票を発行するよう催促をする手続き)をしても無視。わたしから上司に連絡しても無視。
仕方がないから上司の親会社に連絡し、上司に返事を催促してもらうと、彼女から「送ったんですけど~、届いてないならもう一回送ります~」という返事。
いつものことだし絶対嘘だ。
勤めていたときから、わたしの上司にモノや書類が納期に届かないという連絡が途切れることはなかったし、送ってなくても送ったと口だけ言うところまでがセットだ。
……やっぱり辞めてよかった。こんなところにいてもわたしの成長は望めなかった。

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過去に読んだこれらのエッセイ「文系の私が給料とスキルを求めて選んだSEの道で、手にした『強さ』」、「男性が9割の職場。ふわふわをやめ、理屈っぽく話すようになった結果…」をきっかけに、IT業界に興味を持った。
前職で、業務と関係ないことに対して「あなたはどう思ってるの?」と聞かれるのが苦手だった。
「それ、言う必要ありますか?仕事さえしていれば、わたしがどう思っているかは関係ないと思うんですが」と答えてきたわたしはきっと、はしばさんが勤めていた会社と相性が良いと思う。

なんとなく向いてそうというだけで、ITの仕事に手を伸ばすことはなかったと思う。
今までの仕事とあまりにも世界が違うし、難しそうだから。
誰かが書いてくれたエッセイを読まなければ、目指すこともなかった仕事に向かって、勉強を始めた。
色んな人が書いた文章を読むことが、わたしの成長に繋がっている気がする。
書いてくれて、読ませてくれてありがとうと、感謝する毎日。