だから選挙に行く。私が暮らしやすい世の中のために期待することを探して

私は、選挙には必ず行くようにしている。せっかく得た選挙権は使わないと政治やニュースにあれこれ不満を言う権利はないと思うからだ。
よく、選挙には行かないけれど、今の政治には不満を持っているという人がいる。ニュースの街頭インタビューで答えている人を見かける印象だ。しかし、本来であれば、なにも意見を言わず、意思を示さなかった人が文句を言うのは自分勝手ではないだろうか。少なくとも私はそう思う人なので、意見を言う可能性があるならばちゃんと投票には行っておこうと行動を起こしている。
ただ、行かない、興味がない、と思っている人の気持ちもわかる。選挙に行かない理由として、政策がわかりにくい点を挙げている人が多い。その意見には私は大いに賛同する。私が子どもの頃に比べて政党が多くなり、名前が変わり、政策の方向性も違う。選択肢が増えたために生じる迷いや、わずかな違いはあるものの、掲げている内容はほとんど同じという場合も少なくない。どれを選んでも同じ未来にしかならないという懸念も出てきてしまう。加えて、私達のような20代や30代の年齢層は、積極的に政党の違いや政策の違いを知ろうとする機会がほとんどない。告示日になれば近所にポスターが貼られ、気がつけば投票日を迎えている。ポストには投票のための書類が入っており、選挙があることだけを認識する。そして開票を実況する番組で終わったことを知る。
選挙について考える同世代もいるなかで、選挙を遠いものだと感じられてしまう背景には、上の世代の投票率が高いままであることも壁になると感じることがある。政党と投票者の年齢層を比較したデータをみたとき、これまで支持を得て長い間主たる政党として名前が知られているところは、高齢者に対する政策が多い。少子高齢化である今、数を多く獲得しようと頑張っている政党は、高齢者に頼るしかないのだろうか。となると、若年層の意見は少数派として地位の低いものにされ、やがて消えていってしまうのだろうか。もしそうなってしまうのであれば、さすがに若い世代が選挙で声を挙げたとしても意味はない。選挙に行かない人が増えても仕方ないと思えてしまう。
最近では、選挙権の年齢が引き下げになったので、わかりやすく政策をまとめて比較できるサイトもある。私はそれを見るようにしている。私ならどの政策をどのように実現してもらえたら嬉しいか、というポイントで考える。現状や近い未来のことを少しだけ考えながら、私が暮らしやすい世の中になるために期待することを探す。医療や教育、年金などの項目に注目し、お金の使い道についてよく考える。すべて支持したいと思える政党や政策には出会えていないが、少なくともこうなってほしいと思える政党があればそこに投票する。ほんの小さな力かもしれないが、私にできることはそれくらいだろう。
多くの若い世代が、ニュースや政治にアンテナを張るようになり、少しでも声を挙げて変えてみようと思える社会になればいいなと思う。若い世代が選挙に行けば褒められる今の時代なら、小さな声も拾ってくれていいのではないだろうか。その声から着想を得て、今の日本であれば安心して将来を想像できると思わせてほしい。不満や不安が大きく、将来に期待をされていない情勢を変えられる1票になればいいと思う。文字通り何も考えていない人はきっと少ないはずだ。わからないから見ないふりをしている人のほうが多いと私は思う。知る機会を作れば、興味を持ってもらえる何かを考え続ければ、腰を上げてくれる人はいると信じたい。無理強いはしないけれど、ちらっとでも今回の選挙の政策について関心を寄せられれば、大きな1歩となりうるだろう。
私も、最初はわからず興味もなかった。投票に行ったとしても少数派として亡き者にされるのが今の日本だと思っていた。今もその思いが払拭できた印象は抱かないが、無知よりも知識を持ち、現状と限界を知ったほうがいいと思った。一度知れば、次のときもアンテナを張れる。自然と言葉が耳に入ってくる。だから私は選挙に行く。そして、もっと簡単に詳しく内容が知れるようになるといいな、と思っている。
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