目が合って彼が微笑んだ時、この人と付き合うんだろうなと思った

「あぁ、この人と付き合うんだろうな」
そう思ったのは、目があって彼が微笑んだ時だった。
大学4年だった私は、このキャンパスライフで彼氏もできずに終わるのか?と悶々と過ごしていた。
周囲には「彼氏というより、人生のパートナーがほしい!」と宣言してたし、これは私が小学生の頃から願っていたことだった。一緒にいるだけで楽しく、ずっと会話ができるような、両親みたいな関係のパートナーがほしかった。
小さな頃から両親の馴れ初めを聞いていた私は、父が母に一目惚れしたというエピソードが大好きだった。
「きっと、私もこの世界のどこかに運命の人がいるんだ」
私は、いつか叶うかもしれない夢を見て過ごしていたのだ。
そんな私が一目惚れをしたのは、サークルの夏合宿の時だった。
3日目の宴会で、ベロベロに酔っ払っていた私は、3つ下の後輩たちと色んな話をしていた。昔のアニメの話、最近好きなことなど共通点が多くて話が盛り上がる中、外では朝日が顔を出していた。
ロビーでごろごろしながら、半分夢見心地で話をしていたら、後に彼氏となる後輩と目が合った。
先に彼が微笑んできた時、私の頭の中では「この人と付き合うんだろうな」と思っていた。
そう思いたいとかではなく、ただ言葉が浮かんできたのだ。
「いやいや、3つ下の後輩だよ?」と言葉を振り払おうとしたが、酔っ払った頭では考えることも面倒になり「そうなるのであれば、タイミングが来るのだろう」と一旦知らないフリをした。
その半年後の春。私が卒業する直前に、彼とお付き合いすることになった。
付き合った最初の年はコロナの始まりで、1ヶ月半は会えない日があったり、都内の色んな公園に行ったり、本当に色々乗り越えてきたなぁと振り返って思う。
今、付き合って5年経ち、同棲を始めて1年が経過した。
数字で考えると「そんなに一緒にいるのか」とびっくりするし、まだまだ私は彼のことを全部知れていないような気もする。
でも、知ってきたこともたくさんあるのだ。
私が疲れたときはご飯を作ってくれること。
寝つきが良すぎて、ちょっとした物音では起きないこと。
私の創作活動を全力で応援してくれること。
私は、あのとき一目惚れしたことが大正解だったと毎日感じている。
一緒に過ごす時間が増えるほど「私にはもったいないくらいの人だ」としみじみ思う。
彼のことを何にも知らなかったはずなのに、あの瞬間に私はこの未来が見えていたのかもしれない。
もし、小さい頃の自分に会えるのであれば、「両親と同じくらい、私のことを理解してくれる人がいるよ」って伝えたい。
そのままあなたらしく生きれば、大丈夫だよって。
過去も未来も繋がっているとしたら、きっと私の想いが何かしらであの時通じたのだろう。
それか、私の家系は一目惚れをしやすいのかもしれないなと思ったりする。
どちらにしても、私の人生は彼が隣にいれば最高ってことは変わらないのだ。
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