目が合った瞬間、景色が消え彼だけが残った。初めての強烈な経験

私は惚れやすい性格だ。熱しやすく冷めやすい。情熱的で飽きっぽいとも言える。
人だけでなく、物に対しても一目惚れをして買うことも多い。
特に服と文房具に対してが顕著で、かわいいと思ったら買ってしまう。そんな性格をしている。
惚れやすい性格故、一目惚れはたくさんしているはずなのだ。
しかしあまり一目惚れをした思い出がないのは、一番最初の一目惚れが印象的すぎたからだと思う。
私は高校1年生の時に、1週間だけのお試しの交換留学を経験した。
自分の高校と提携をしているアメリカの学校に、ホームステイをしながら通うというものだ。
私にとっては初めての留学とホームステイで不安なことばかりであった。
1週間とはいえ、そんなに長く親元を離れることもなかったので、初めての経験にワクワクしながらも、不安や心配の気持ちの方が大きかった。
いざアメリカでの1週間が始まり、ホストファミリーも優しく良い留学生活をスタートすることができた。
学校生活は通常の授業に加えて外でのアクティビティも用意されていた。留学先の学校には日本語クラスがあり、その生徒が交流も兼ねてアクティビティには付き添った。
その日は朝から学校の外でのアクティビティがあり、ドラマで見たことのある黄色いスクールバスに乗り、テンション高く郊外の観光名所までやってきた。
そしてバスを降りるときにお昼ごはんを受け取るのだが、その時に初めて彼を見た。
栗色の巻き毛に、欧米人特有の奥目に薄いヘーゼルの瞳が印象的で、サンドイッチを手渡しながら微笑んでいる笑顔が素敵だった。
彼と目を合わせた瞬間、周りの景色は消え、彼だけが残った。
一瞬、サンドイッチを受け取るのを忘れて見惚れてしまった。それぐらい強烈な経験だった。
その後はことあるごとに彼を目で追ってしまい、これが一目惚れかと思った。
一目惚れしたが、私はそのときそこまで英語が話せたわけでもなく、その後のアクティビティでも接点がなかったので、彼に想いを告げるというような流れにはならなかった。
異国の地で一目惚れという経験とかっこいい彼に巡り会えたことを宝物にしようと思った。
それだけで十分だと思ったのだが、留学最終日のパーティーの時に、私が彼のことをかっこいいと言い続けてたからだとは思うが、 誰かが彼を連れてきてくれた。
私は緊張してまともに会話できた覚えがないが、何とか「日本でまた会おう」とは言えた。
その時撮った写真が先日出てきて甘酸っぱい気持ちになった。
留学の締めくくりとして、とてもいい思い出になった。
交換留学だったため、彼とも日本でもう一度会える予定だったのだが、プログラムの変更があり、私たちが一方的に留学しただけで、彼らが日本に来ることはなくなってしまった。
刺激的な一目惚れから始まった1週間にも満たない恋は、あっけなく終わった。
年齢を重ねるにつれ、人に対しての一目惚れは減ってきているように感じる。
初めての一目惚れが私の中で特別な思い出になっているのは、あれほどまでに強烈で刺激的な一目惚れが後にも先にもあの1回だからかもしれない。
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