夢の海外生活を手に入れた私が「やっぱり日本がいい」と思った理由

私は幼少期から海外に憧れを持ち、将来は絶対海外に永住すると決めていた。
海外思考の家庭なのかと思われそうだが、全くそんなことはない。両親は海外経験はほとんどなく、新婚旅行で行ったオーストラリアだけというザ・日本の家庭で育ってきた。
そんな両親に育てられた私がなぜ海外に興味を持ったのか、きっかけは小学生の時に習ってた英会話である。
母の友達が自宅で英会話を教えるということで習うことになったのだ。初めは英語は好きではなく、なぜわざわざ外国語を学ぶのか不思議に思っていた。むしろ英語で会話することが嫌いだった。
その英会話は小学生が対象だったので、中学生になるころに辞めた。
そして中学生になると英語の授業が始まった。
私はアドバンテージがあったので、中1で習う英語はすぐに理解できた。
単純ではあるが、周りより理解スピードが早かったのが嬉しくて英語が好きになった。それに英語話せたらかっこいいじゃんとさえ思うようになったのだ。
そこから日常でもNHKの海外スクールドラマを見るようになり、「海外って自由で楽しそう」「こういうところで生活したい」という欲望が増した。
高校は普通科だったが、大学は外国語大学に進学し、卒業した。大学在学中は短期留学も経験した。
ここまで読むと英語ペラペラじゃんって思われそうだが、残念ながらペラペラではなく、日常会話ができる程度。海外に行ったからって英語がペラペラになるわけではない。その人の努力次第と目的次第である。
大学在学中も変わらず海外で生活したいという思いが強く、卒業後はワーホリで海外に行き、永住するつもりだった。
だが、色々あって卒業後は日本でいったん就職をすることになった。社会人になってそれなりに楽しく過ごしていて、海外欲が薄れてきていた。けれど、ふと「私って海外住みたかったんだ」と思い出し、新卒で入った会社を辞め、留学とワーホリで、2年ほどカナダに滞在した。
海外で生活するという幼いころからの夢が叶い、本当に嬉しかった。しかし慣れというのは怖いもので、憧れも日常に変わると飽きがきてしまう。
「永住は日本の方がいい」と思ってしまったのだ。あんなに海外生活に憧れを抱き、永住したいとまで思っていた私が、まさか「永住は日本がいい」と言う日が来るとは。
日本にいるままだとこういう感情も知れなかったので、新しい自分の価値観に気付けて良かったと思う。経験しないと分からないことって本当にあるんだと実感した。
なぜ日本がいいと思ったのか、理由の1つめは日本にはエンタメがたくさんあることに気付けた。テーマパークや季節の行事、観光地など楽しめる場所がたくさんある。
飽き性の私には日常にエンタメが必要なんだと気付いた。
2つめは日本は比較的安心して住めるということ。私が滞在した国は銃事件、ホームレス、麻薬、子供の誘拐など、日本ではそこまで多くない問題が多発していた。カナダは多国籍国家だからこそ、色んな価値観が尊重されるし、自由であるからこそ自己責任という言葉がリアルに必要とされていると知った。
こういう事件を目の当たりにして、いかに私がこれまで、日本で安全に平和に幸せに暮らせていたか実感した。
海外に住んでみて「日本人で良かった」と心から思った。
日本の良さを初めて知ることができた。
もちろん今も海外は大好きだから、私は日本に身を置きながら、旅行としてたくさんの国を訪れて価値観や選択肢、視野をもっと広げていく生き方を選択した。
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