一人暮らしだけが「自立」じゃない。実家暮らしの同期から学んだこと

私が初めて一人暮らしを始めたのは、大学進学のタイミングだった。
私には、人生の中で今のところ2回、どこで生活するかを選択する機会があった。1度目は大学進学のタイミング。そして2回目は就活のタイミングだ。
私の出身県にももちろん国立の大学はあったが地方の国立大学では学科が限られてしまい、私の勉強したいことを専門に勉強できるような学科は存在しなかった。それもあり、大学入学とともに一人暮らしを始める友達も多く、東京や地元であるときにはいろんな場所のお土産がそろったりしていた。帰省する機会は少なかったが、両親や地元の友達とも頻繁にやり取りしていたし、自分で生活面の管理や家事をしているだけで特に大きな変化はなかったと思う。そして2回目のタイミングの就活でも私は、実家に帰るのではなく都心で就職し一人暮らしを続けることを選んだ。確固とした理由があった訳ではなく、給与面で決めたことだった。
実際に入社してみると全体の半分くらいが実家から通勤していることを知り、実家から通えること、家に帰れば食事やお風呂の用意がされていることを羨ましく思うことだってあった。確かに、それだけを聞くと自立できていないと感じるが、実際のところだと、休日に親の手伝いで運転をしたり祖父母の面倒を見たり、実家暮らしと一括りにはできないくらい、人によってさまざまだったように思う。一人暮らしの私の休日は翌週のための買い出しやテレビの一気見、たまに気が向いたら家の掃除などが占めていて、休日に親のために何かすることや祖父母の面倒を見るのは、ちょっとだけ縁遠いイベントだった。
一人暮らしと実家暮らしで問題になるのは、結婚や同棲する時、相手がどれくらい暮らしを維持することが大変かを理解しているかという点だと思う。家を決める時、借りるにしても買うにしても、大きな契約になることは間違いないし、食事のような自分の面倒だけではなく、掃除洗濯といった家の面倒も見ないといけない。生活するという一言にそれらが含まれる以上、一人暮らしでそういうことへの理解や経験があることはプラスに働くだろう。
でも、誰かと生活する上での気遣いや習慣は一人暮らしで身につくものではないと思う。もちろん、子どものころは両親や兄弟と生活していたはずだが、社会人なり親との関係性を変化させていけるなら、実家暮らしの経験からしか学べないこともあるはずだ。
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