辛い物を食べるときって、どんなとき?私はイライラ、むしゃくしゃしている時が圧倒的に多い。

実をいうと、私はそもそも辛いものがあまり好きではない。おいしいと感じられるのは、せいぜいキムチまで。それ以上になると舌も唇もヒリヒリして、本来の味なんてわかったものじゃない。汗も出るし、お腹も壊すし、とにかく最悪だ。

好きな食べ物は、断然甘いスイーツ。ご褒美に行くのは激辛ラーメン店ではなく、宝石みたいにきらきらと輝くケーキが並んだカフェである。

なのに、そんな私が、ふとした瞬間に無性に辛い物を食べたくなる。どうしてなんだろう。好きでもないはずなのに。

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というわけで、最近食べた辛い物を思い出してみた。

先日食べたのは、プルダックポックンミョンのアレンジ料理。単体だと激辛なので、チーズやマヨネーズ、卵を入れてマイルドにした。見た目からしてカロリー爆弾だったが、そんなことはどうでもよかった。とにかく、辛くて辛くてヒリヒリする。でもそのヒリヒリに没頭している間だけは、他のことを全部忘れられた。

なぜその日、プルダックポックンミョンを選んだのかというと、もちろん前々から気になっていたのもあるけれど、人間関係でむしゃくしゃしていたのが一番大きい。
4月に新しく再編成された人間関係にも、そろそろ慣れてきた頃だった。でも、自分のコミュニケーション力の低さを痛感することが増えた。また、周りがどんどんいろんなことに挑戦していて、頑張っていて、成長しているように見える中で、自分だけ何も頑張れていないような気がしていた。

つまるところ、新しい環境に揉まれて、心が少し「辛く」なっていたのだ。

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そんな時、私の重い気持ちを一時的にでも解放してくれるのが、辛い物だ。普段は全く食べないけれど、月に一度くらいはそういう日がやってくる。
好きじゃないのに求めてしまうのは、たぶんそれが私にとっての気分転換のスイッチだからだと思う。辛さに身を任せて、食べることだけに集中し、一旦自分を忘れる。

辛みを通してしか整理できない感情というものが、私には確かにあるようだ。

もちろん、生理前も辛い物を欲する瞬間がある。ホルモンバランスが崩れて、なぜか甘い物と同じくらい「刺激」を求めてしまうのだ。

チョコレートを食べて満たされなかった日、最終的に選ばれたのは激辛の麻婆豆腐だった。口の中が燃えるような辛さで、「ああ、もうどうにでもなれ」という気分で無我夢中で食べていた。

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そして時には、理由なんてなくても辛い物が食べたくなる日がある。誰とも話したくないけど、なんか口さみしい。そんなとき、選ばれるのは辛いものだ。

甘ーいスイーツもいいけど、こういう時は刺激が欲しい。辛い物を食べている時に「あ、今自分はちょっと疲れてるんだな」と気が付くこともある。

辛い物を食べることは、どうやら私にとって、心のメンテナンスのようだ。舌と唇を刺激しながら、日常の感情や思考をいったんリセットする時間。「今日はもういいよ、よくやったじゃん」と自分に言い聞かせて、私はまた辛い物を口に運ぶ。

たまには、こういう日があってもいい。ヒリヒリしたあとに、少しだけ心が軽くなるはず。いつかの私も、未来の私も、そう信じて、辛い物を食べ続けている。