人生初めての海外留学を終えてまず思ったのは、「ここ10年で一番幸せだったなぁ」ということです。

社会人になってからの約10年間、楽しい時間や達成感を味わえた瞬間はたくさんありました。ワクワクする日々も、刺激的な毎日もありました。

それでも、あの3ヶ月のように何度も心から「幸せだ」と感じられたことは、ほとんどなかったように思います。

それは、思いきり英語に浸って、異文化に触れ、何よりありのままの自分を受け入れてもらえたからだと思っています。

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『英語を使って話すこと』
『様々なバックグラウンドの方とコミュニケーションを取ること』

この2つは幼少期から本当に大好きなことでした。
映画を観ることも大好き、外の世界をもっと知りたい!そんな子供でした。

一方で学生時代に留学の縁はなく、社会人になってからも「海外で働きたい」という思いはありましたが、実際にその機会が回ってくるのは帰国子女や留学経験者が多く、どんどん奥手になっていってしまい、結果せっかくのチャンスにも手を挙げられないまま年月が過ぎていったのです。

そしてワーキングホリデーの年齢制限最後の年はコロナに奪われてしまい、チャンスそのものが消えてしまったと感じていました。

これまで海外への憧れは、年に一度の大型連休を使った1週間ほどの旅行で満たしていました。
現地で英語を話し、異文化に触れることでエネルギーをチャージし、また仕事へ戻る。それが私のリズムだったんです。

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転機となったのは2023年の夏、34歳。
当時の私は第一志望の部署に異動できて仕事は順調でしたが、やりがいや人間関係、今後のキャリアへの違和感が心の奥に残っていました。
「今選んでいるキャリアは正しい。定年までこれでもう安心!」そう自分に言い聞かせる日々でした。
そんな中、リフレッシュも兼ねて夏休みに行ったロンドンでの1週間の語学留学がある種の決定打となりました。

この1週間の夏休みはエネルギーが満たされるどころか、「どうしてこんなに居心地の良い場所を1週間で離れなきゃいけないんだろう」という思いでいっぱいになったんです。

もっと学びたかったし、もっと世界を肌で感じたかった。

その反動は大きく心身ともに限界でした。
これ以上自分に嘘をついてはいけないと強く感じ、11年築き上げた大企業での営業職のキャリアをストップ、休職する決断をしました。

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そうして迎えたのが、35歳での人生初の海外留学。

長年「もう自分には無理だ」と思い込んでいた夢を叶えよう!
そう思い、退職しカナダ・トロントへ3ヶ月の語学留学を決めました。

トロントでは「とことん英語と異文化に浸る」と決めていました。
毎朝5時半に起き、学校近くのカフェで勉強。日中は授業、夕方はEnglish Cafeに参加し、夜はホストファミリーやルームメイトとおしゃべり。振り返れば、ずっと英語に囲まれ、さまざまな国の人と交流していました。

特に印象的だったのは、30歳以上限定クラスでの出会いです。
同世代または上の世代のクラスメイトは、それぞれの理由や思いを持って留学してきていました。
人生経験や価値観をシェアし合い、将来について語り合う時間はかけがえのないものでした。

日本にいた頃、私の周りには特にこの年齢で会社を辞めて留学する人はいませんでした。
でもトロントには、自分と似たような想いや背景を持つ人たちが沢山いたんです!
「一人じゃない」「自分はおかしくない」「このままの自分でいいんだ」と思えたことが、想像以上に大きな支えになりました。

帰国後も、そのつながりは続いています。
時差を越えてオンラインで話したり、役立つ情報を送り合ったり。離れていても、励まし合える仲間がいることは、本当に心強いです。

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留学は学生だけのものではありません。最高齢のクラスメイトは70代でした。
私のように、ワーキングホリデーの年齢を過ぎても、そして一度は諦めたと思っていても、挑戦できる道はあります。

そして今年、私は36歳になりました。
「36歳の誕生日は海外で過ごす」と決め、たくさんの方々の励ましと支えがあって、無事にその目標を叶えることができました!
今はオランダでフリーランスとしての新しいキャリアをスタートさせています。

あのトロントでの3ヶ月が、すべてのきっかけでした。
会社員時代は、まさか36歳の自分がオランダでフリーランスになっているとは夢にも思っていません。

遅すぎることは、本当にないのだと思います。
そして、挑戦するたびに、人生はより自分らしくアップデートできるんだと思っています。