子育て中のスマホ断ち。達成できる気しかしない、はずだった

「24時間スマホから離れてみた体験記を募集?」
なにそれ素敵。挑戦してみたいかも。私ならきっとできるはず。
私の場合、スマホが手放せない理由のトップはYouTubeが見たいから。解決方法は簡単。テレビでYouTubeを流せば良いのです。
中国史解説動画を流しながら、あとは自宅でお仕事をするだけ。スマホでも基本は聞き流し作業なので、テレビ画面でも問題無し。時々インスタの美しい画像が見たくなるけど、私だって美しい日本画を描いてるところ。思い込みの力は偉大です。和紙の上がインスタ画面。和紙の表面こそ本来のインスタ。そう思い込んで作業開始。
現在9:00。この調子で4人の子ども達が一斉に帰宅する16:00くらいまでは持つでしょう。これは達成できる気しかしません。
10:20、うん良い感じ。ピロピロリン。いや、その手には乗りませんよ。絶対に拝見いたしませんよ。でも待って。今の着信音って……。
「中学校です。お子さんが熱中症ですのでお迎えに来てください」
「……はい、分かりました」
ツーツー。
これはアウトですか、セーフですか。スマホを触ってしまいました。でも立派な人命救助です。ノーカンでも宜しいでしょうか。
「保護者です、無事帰宅し、ま、し、た……って学校への帰宅報告メールは、スマホを触った事に!?」
いえ、これをしないと社会的に問題ですから。私の個人的な挑戦に、教育機関を巻き込むわけにもいかないでしょう。
そして夕方。
「みんなー、おかえりなさい」
「ただいまー。ママ、あーそーぼ」
「ごめんねーママ今からご飯作るから」
「あそんであそんでー」
「じゃあスマホ貸してあげるからYouTube見てて?今好きなチャンネル出してあげ……」
ポチポチポチ。
「……はい、お好きな動画をどうぞ……」
「わーい、ありがとうー!」
あのですね、今なにが起きたかと申しますと、私が動画を見るわけではありませんが、保育園児のためにアプリを起動し動画を探すお手伝いをしてしまいました。これは厳密にはどうなのでしょうか。目を離す時間ができる夕飯の支度中、保育園児様におかれましてはスマホをご覧いただける事が、御身の安全第一との判断なのでございます。
夕飯後。
「ママー、宿題の範囲忘れたー(焦)。お友達のママにLINEして、範囲聞いてぇー(泣)あと明日の持ち物なんだっけって伝えてー(汗)」
「ママっ、インスタに写真アップしたのっ。めちゃくちゃ尊いから見てっ」
全部緊急事態ではございませんか。
ブーッブーッ!
「ママやばいよ、近所に不審者情報だってー!」
「えっ、どこ。なになに、身長170cmくらいの上下黒の男が、すぐそこの道で小学生のお尻を触って逃げたって!!」
(不審者情報の通知、助かるー!)
「みんな戸締り確認してー、ママは鍵閉めまーす!」
……えっと、私は何と戦っていたのでしょうか。
「24時間スマホから離れてみた体験記を募集?」
ああ、そうでしたね。その件につきましては、子育てが終わってから優雅に取り組ませて頂きましても宜しいでしょうか……。
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