かがみよかがみで「24時間スマホから離れてみた体験記」の募集を見た瞬間、「え、面白そう!」私の好奇心ランプが点灯した。

「気になるならやるしかない。次の休日に決行しよう!」。すぐにスケジュール帳にスマホデトックスと書き込んだ。

計画を立てただけで、すでにワクワクしていた。
スマホデトックスは、まるで自由研究のような感覚だ。学生時代のような嬉しさがよみがえる。

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夜の21時に、スマホの電源を切った。普段はXでツイートを見ている時間だ。私はXを閉じた2秒後に無意識にXを開くくらいには重症なのだが、覚悟を決めていたからか不安はなかった。

何をしていいかわからず部屋にあった本を読んでみた。寝る前の読書も悪くないなと思った。よく眠れそうだ。

朝は久しぶりに目覚まし時計を使った。ピピピピという無機質な音で目覚めた。普段ならベッドでヤフーニュースを読みながらゴロゴロする朝だけど、スマホがないおかげで洗面所にまっすぐ向かえた。

今日の持ち物は、本2冊、手帳と筆記用具、カメラ、そして電源の切ったスマホ。

電車で音楽を聴こうと思ってイヤホンを耳につけてみたが、「あ、スマホの電源切ってたんやった」と思い出して少し笑ってしまった。周りの会話が、いつもより大きく聞こえた。こんなにザワザワしてたんだ。ザワザワ。

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1日フリーで楽しむ自信はなかったので、ざっくりプランを立てていた。

・朝:カフェで内省と読書

・ランチ:スパイスカレーを食べる

・午後:話題の映画を観る
・映画後:カフェで映画の感想と今日のことを振り返る

事前に計画表を用意し、映画の時間や発券ナンバーまで細かく記入した。さらに自分への「スマホデトックスしてみてどうだった?」という質問リストも作成済み。完全に楽しむ気満々だ。

カフェでの内省はいつも以上にはかどった。頭の中の思ったことをどんどん手帳に書き出せた。いつもはスマホを触って書くことを中断してしまうこともあるが、文章に集中できる心地よさを感じた。

スパイスカレーは、レシートの裏に味の感想を書いて、写真は一眼で撮影した。本格的すぎてちょっと恥ずかしかったけど、いつもより綺麗な写真と正直な感想が残せた。一眼カメラの写りが想像以上にアップで、「iPhoneの焦点距離っていくつなんやろう」と答えの調べられない疑問が浮かんで消えた。

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映画を見たあとは、ネットで感想を調べられないもどかしさを感じた。「私はこう感じたけど、みんなはどう感じたの」。ソワソワしすぎて、エレベーターで映画の話をしていたカップルに思わず話しかけそうになった。

18時(電源を切って19時間後)にスマホを解禁した。電源を入れてどんどん届く通知に、ネット社会から「おかえり」と言われているような気持ちになった。

振り返ってみて、自分が思った以上にスマホに支配されていることに気づいた。誰かからの連絡を待っている自分、ネットサーフィンしていると思考がどんどん違う方向に飛んでる自分。私は誰かとつながっていたいのかもと感じた。

1番困ったのは、漢字が調べられないことだった。手帳に書いた内省や振り返りは、大人とは思えないほど、ひらがなだらけでちょっと面白くなった。でもたまには、自分の実力のままの手書きも味があっていいか。

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正直、24時間は少し長い。でも休みの前夜に電源を切るのは悪くない。来週もやってそうな未来が見えた。

私の自由研究は、終わったようで終わっていない。みんなはスマホの電源を切ったらどんなふうに過ごすんだろう。その好奇心が止まらない。他の人のエッセイを読むことも、私の自由研究の続きなのだ。