スマホがなければ生きていけない。これは割と本気で思っている。

ゆとり世代とZ世代のどちらにも入れられることのある中途半端な世代で、割とずっとインターネットと共に生きてきた。

方向音痴なのでマップや電車のアプリを使わないと目的地にたどり着けないし、雨が降るかも!的な勘が全く働かない野を忘れた愚かな人間なので天気アプリもないと困る。

といった感じで、スマホを持ち始めた大学生の時からスマホをずーっと触っている。

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ずっと触っている最大の要因それは私がオタクだから。オタクはスマホがないと死ぬ。これはマジ、本気と書いてマジ。スマホでやることが多すぎるのだ。

スマホを触る時間の大半を占めているのはSNSで、中でも青い鳥の旧Twitterにずっとお世話になっている。

オタクをやる上で必要なのは1に情報、2に情報、34がなくて、5にまた情報なのだが、その大切な情報は旧Twitterで公開されることが多い。あくまで私の推したちの場合は。「現代のオタクはもうTwitterやってないよ」と弟に言われた時は泣きそうになったが、それはまた別のお話。

もしかすると、オタクの使用率が高い故に公式アカウントが設立→オタクは旧Twitterを使うしかない→オタクの使用率が上がるという繰り返しなのかもしれない。

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そんな青い鳥がつぶやくのをやめ、真っ黒ひび割れアイコンのXに生まれ変わってから、おすすめ機能というものが増えた。その機能のおかげで素晴らしいつぶやきに出会う機会も増えたが、見たくもない悪口ややるせない嘆き、今までだったら目に入ってこなかった炎上案件などにぶち当たってしまうことが格段に増えた。毎日当たり屋に出会わされている気分。勘弁してくれ。SNSというのは見ているとそこが全てだと思えてきてしまう不思議なものなので、なんとなくちょっとずつ気が滅入る日々だ。本当にスマホを手放すどころか、何度へし折ってぶん投げてやろうと思ったか!ガラケーならもう真っ二つにしてたよ!

SNSやめたい!でもオタクだからSNS見なかったら情報に追いつけなくなる!それはやだ!無理!もうオタクやめたろかな!と叫びながら、推しを摂取した途端に推し最高ー!と掌を返しSNSの波に繰り出すという、この無限ループから抜け出せない哀れな生き物、それがオタク。

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そんなSNSに疲弊した哀れなオタクこと私が、唯一前向きにスマホを手放す時間、それは劇場に行った時である。

私はお笑いやアイドルが好きで劇場に行くことが多いのだが、劇場はスマホ使用禁止なことが多いため、強制的にスマホを手放すことになる。

開演時間が近づく。スマホの電源を切る。カバンにしまう。もう始まるかな〜と思いながらそわそわ開演を待つ。このワクワクした気持ちで過ごす時間が何よりもキラキラしたものだなと思う。

開演したら余計なことを考えず、舞台上で動く物語に集中する。普段はスマホを触りながらテレビを見てしまったりと、何か1つのことだけするのが難しくなってきた私だが、この時だけは目の前で繰り広げられる事象にどっぷり入り込んで堪能できるのだ。 

舞台が終わってから会場の電気が付き、早くこの感情を、この記憶をメモに留めたいと思いながら、スマホの電源が入るまでの時間をもどかしく感じるのもまた一興。

オタクだからスマホを手放せない日々だけど、オタクだからこそスマホを持たない時間の幸せに気づけたという、なんともまあ皮肉なお話。