スマホは仕事のパートナー。離れてみて気づいた適切な関係性

スマホから24時間離れる。
私にはそれほど難しいことではないように思えた。
実は、スマホデビューして2年もたっていない。ずっとガラケーとタブレットでいいと思っていたのだけれど、仕事でのやりとりがLINEになることが多くなり、さすがに支障が出てきたのでしぶしぶスマホにしたのだ。
だから、スマホから離れるとしたら仕事のLINEが少ない週末にしようと決めた。また、Wi-Fiのルーターとしても使っているので、パソコンを使う時にこの機能だけは例外的に許可、というマイルールも決めた。
パソコンを使えるなら、それほど大変ではないだろうと実験前は思っていた。
実際やってみて、一番めんどくさかったのは音楽を聴くことだった。
音楽を聴きながら仕事をするのがいつものことなのだけれど、スマホにダウンロードしたアプリが使えず、まずパソコンを立ち上げ、ネットにつないで、音楽サイトを検索し…
愕然とした。そして笑ってしまった。スマホを使う前には当たり前にしていたことなのに、人間とはなんと易きに流れるものよ。
また、ちょっとした作業にスマホが使えないのもプチストレスだった。
私は料理の仕事をしているのだが、オーブンに食材を入れて焼き具合の変化を見るのに使うタイマー機能、レシピを作るのにちょっと使いたい電卓機能、出来上がりの状態を覚えておくためにとりあえず撮っておきたい写真機能。
結果、メールやLINEの閲覧といった、不便を感じるのではと当初予想されたことには何の不満もなかった。見なければいいことだ。この実験の後、メールやLINEは時間を決めてまとめて見るようになった。随時見ていると、返事しないといけないというプレッシャーがかかっていらいらしていたのだが、それがだいぶ軽減された。
それから、ネットニュースをなんとなく見る時間が大幅に減った。
正確に言うと、ネットを見ていても15分くらいできっちりやめられるようになった。早起きした時や電車で移動する時など、知らない間に1時間くらい見ていた私からするとこれは画期的だった。
1日見なかっただけのことで、ちょっとだけ時間を有効に使えるようになった。これは素晴らしい効果だと思った。
デジタルデトックスというにはちょっと甘かったなあという感想を持った実験の3日後、なんと強制再実験をすることになった。スマホを忘れて外出したのだ。
一番困ったのは、時間が分からなかったことだ。日に何度も、一緒にいる知り合い数人に時間をたずねた。「携帯忘れちゃって」と言うと、一様に信じられないという反応が返ってきておもしろかった。
帰りの電車では、ほとんどの人が画面をのぞき込んでいるところで、ぼーっとしたり、帰ってからの段取りを考えるのは、なんだか愉快だった。
帰宅してスマホをチェックしたけれど、結局、忘れたことを後悔するような事柄は特になかった。そんなものなんだ、と思った。
これまでも、夜間はなるべくスマホを見たりメールやLINEに返事をしないようにしてきた。きりがないから。今後、私の中でこのやり方がますます加速しそうだ。
今回実験してみて、スマホの機能で私に必要なものとそうでないものの輪郭がはっきりしてきたような気がする。暇つぶしにスマホをいじることはなくなりそうだ。改めて、2年ほど前にスマホに変えた理由を思い出した。
私にとってスマホはおもちゃじゃなくて、あくまで仕事のパートナーであるということだ。
スマホは本当に便利。漢字が書けなくなったり、自分で考えること、想像することを奪われていく危険性もはらんでいることを知ったうえで、時代に逆行することなく、かつ考えるためにスマホを使っていきたいと私は今思っている。
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