友人から指摘された、イジメの事実

「お前、Hさんの事いじめていたよな」

中学の同級生とお酒を飲んでいた時に言われた。衝撃だった。だって私はHさんの事をいじめてなんていない。

昔から人一倍正義感が強かった。そんな私がイジメなどもっての他である。
仮に嫌いな人がいたとしても、イジメという形ですら積極的に関わりたくない。だからといって誰かを故意に無視をしていた事もない。

Hさんは物静かでマイペースな人だった。私は活発でおしゃべりだ。Hさんとは中学校生活の間、殆ど関わったことが無い。修学旅行の時を除いて。

Hさんと私は修学旅行の班が一緒だった。
男3人、女3人の6人で京都内を行動した。
移動は基本タクシーで、その間6人で大富豪をしていた。しかしHさんは大富豪をやった事がなかった。ルールを懸命に説明しても理解してくれない。ずっとパスしていると思えば大事に最後の1枚「ハートの2」を持っている。そんなカードいつだって出せる。中学生の私は大富豪ができないHさんの事を理解できなかった。
「なんで何回説明しても大富豪のルールがわからないの?」
声を荒げてHさんに言った。Hさんは元々口数は多くないので黙って俯いていた。

私のHさんの記憶はそれだけだ。

私の中では。

別にこれはイジメではないと思う。

私の中では。

イジメではないと思っていてもHさんからしたら立派なイジメだろう。
他の4人の前で大富豪ができないと詰られる。私なら嫌な気持ちになる。もちろんHさんも同じだろう。
私は普段から物言いがキツイので恐らく普通に話していると思っていてもHさんからすれば棘のある言い方だったかもしれない。私は覚えていなくとも修学旅行の件以外にHさんは私と関わってたくさん嫌な気分になっただろう。それこそ第三者の同級生が覚えているくらいに。

自覚なく傷つけてしまった貴方へ

いじめられていた人は沢山見かける。でもイジメをしていた人は見かけない。
大っぴらに言えないからかもしれないが、いじめられている人と同じ数、もしくはそれ以上のいじめている人がいるはずだ。

皆、私と同じでいじめている自覚がないかもしれない。無意識に誰かをとてつもなく傷つけている可能性がどんな人にもある。中学生から大人になるまでにどうしてわからなかったのだろう。

貴方を傷付けてしまっていたことに10年以上経たないと気づけなかった愚かな私です。
もう貴方に会う事はないだろうし、貴方も私に会いたくはないでしょう。Hさん、本当にごめんなさい。あの時よりずっとずっと周りを慮れる優しい人になる事をここに誓います。