遅さを糧に変えて勝ちにいく。62歳から始める反撃の誓い

62歳7か月、コンプレックスは過去に多くあった。
一重瞼、そばかす、色黒、寝癖の付きやすい剛毛、運動音痴、
それからそれから…パッとしない成績、内弁慶、短気などなど。
ネガティブキャンペーンかというくらいいくつだってあげられる。
コンプレックスだらけな私だけれど年齢とは大したもので、それらの大方は気にならなくなった。あきらめ、開き直りである。どんな美人も秀才も、年を取れば人間そんなに変わりはないように思う。
しかしそれでも何かにつけてつきまとうことがひとつある。
「することが遅い」
子供のころから言われ続け、大人になってからも定時に仕事を終われない、家でもだらだらと家事に時間がかかり…。
自分でもため息が出る。周りに迷惑もかけているはず。実際、職場上司からため息をつかれたこともある。
この致命的な欠点。ただ一人認めてくれた人がいる。
大好きな母方の祖父だ。
私は20代の頃、ある資格取得を目指していて2回目のチャレンジで合格したことがあった。
それを聞いた祖父が「〇子は時間さえ与えとけば何でもできる子なんや」と喜んでくれたことを母経由で聞いた。
とてもうれしかった。こんな私をほめてくれる人がいる。
祖父がくれた言葉はずっと変わらず私の支えである。
でもだからといって時間をかければ良いという年齢では最早ない。
このコンプレックスをどうアレンジして祖父に褒めてもらおうか。
「することが遅い」この事象を改めていろんな方向から見てみると手際が悪い、段取りが悪い、時間を意識していない、優先順位がついていない。などが大きな原因だと思う。これを改善するのは割とたやすい。自覚症状ありなのだ。
が、私はきっちりとやらないと嫌で時間がないからと省略したりはできない。
しかしだ。世間が求めているものはそうではない。
時間内に仕事を収めてタイムカードを打刻することは、社会人として至極当然のこと。
まあ芸術家とか研究者とかそういう分野の人にとってはそれが全てでもないかもしれないし何でも早ければ良いというものでもないことも事実だろうけど…。
今まで目の前のことに精いっぱいでぐるりと見渡すことができなかった。
これまたかなり遅いのだけど今、自分がすべきこと、求められていることは何かを見極め、相手の気持ちを理解する柔軟性と余裕を持つこと。今何が一番大事かの判断。
それができたらコンプレックスはアドバンテージへと成長すると思っている。
でも実はこのコンプレックス、嫌なことばかりでもなく仕事や家事の改善策を思いついたり時には目からうろこのアイデアや気づきを発見したりといった面白さもあったりする。
いい年してなんとお気楽なことかと自分でもあきれるけどもそして他人からはあほやなあとか要領悪いなあとか思われてるかもだけど、ええやんなあ、それが私なんやし「そうやそうや、〇子はそれでええんや」と祖父も笑ってくれるんじゃないかなといまだに甘えた考えをしている。
だがな、見ていろよ。時間をかけて必ず勝ってみせるから。なにしろ時間があれば何でもできると評価をもらった私なのだ。「することが遅い」これをじっと見つめてそこにともる2つ3つの光をすくいあげて生かせていくことができれば。そうすればこれが私のアドバンテージだと胸を張って返せるようにきっとなる。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。