本当は、30歳になるまでここに私の20代をしまっていきたかったけれど、残念ながら、これが最後の募集テーマらしい。だからせめて、かがみよかがみ最後の投稿は、私の始まり、“なつめの抹茶”と名付けた日についてにしたい。

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中高は勉強に必死で、書くことから離れていた。大学生になり、好きな「書くこと」を再開したいと思った。でも、どうしたらいいのか分からない。そんな、大学1年生、ちょうどかがみよかがみに投稿できるようになった18歳にこのサイトと出会った。
ペンネームは、初投稿が決まった時に自分でつけた。

2022年10月20日。今でもLINEの履歴に残っている。編集者さんとのやりとり。私は茶道が好きだから、そこから名付けたいと思い、茶道の道具の中で名前っぽい響きの棗をペンネームにしようとした。最初は素直に”ナツメ”とか、”natsume”にしようかと思っていたが、他に同じ名前の方がいたようで、他の案を考えなければならなかった。どうしようかと、一人暮らしの部屋で椅子にちょうど今のように座って考えた。

“棗=なつめ=私”の中にある“抹茶=大切なもの”

それを綴る場所という意味と、大事にしたいことを、私が一番大切にできる自分でありたいという願いを込めた名前。”なつめの抹茶”はどうか。

私は本音であればあるほど、心の奥の鎧の中身であればあるほど、さらけ出すのが怖かった。今でも少し怖い。鎧を纏った言葉であれば、多少傷つけられても割り切って耐えられるけれど、本当の自分の中身ならばきっと耐えられないから。でも、そんな自分を変えたいとも思った。

始めはただ、響きだけで注目した棗だったが、考えれば考えるほど、私にぴったりな気がした。その日から、私は“なつめの抹茶”になった。今では、”ナツメ”、”natsume”が却下されてよかったと思う。

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そしてかがみよかがみに投稿するようになって早3年。ここではずっと、なつめという鎧の中にある抹茶のような、大切で柔らかくて鮮やかな私の素直な気持ちを綴ってきた。今となってはさすがに少し感情的に書きすぎたかな、ネガティブな終わり方にしてしまったなと思うこともある。けれど、私は何より、自分自身が、大切なものを守るという名目で大切なものをないがしろにしない自分であれたことを誇りたい。

今年の8月にはnoteも開設した。今まで私を鼓舞し、支えてくれたなつめの抹茶にはもう一つ意味が加わった。“なつめの抹茶”が、私が私を大切にできる場所であったように、読んでくださるあなたにとっても、拠り所であれますように。そんな場所にこれからしていくという決意だ。

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さいごに。

今まで編集者さんにも由来は言っていなかったし、周りの人にはそもそもペンネームすら伝えていなかったので、これが、ペンネームの由来をお話しした初めての機会です。ずっと由来をお話しするタイミングを迷っていましたが、この節目以上に相応しいタイミングはないでしょう。

私が大学生になって再び書き始めようと思えた原点はこのかがみよかがみで、今まで136本以上ものエッセイを見ていただいたから、最後に誰より編集者の方に読んでいただきたいという思いで、ここで書かせていただきました。今までありがとうございました。かがみよかがみから始まった私の執筆ライフ。これからも、その原点を大切になつめの抹茶として書き続けていきます。