経歴も文才もない私が文章を人に届けたいと思ったのはなぜだろう
自分の書いた文章をSNSに投稿したり、公募に挑戦し始めて1年弱が経つ。少しずつではあるけれど、noteにアップした文章を読んでくれる人も増えてきた。ありがたいことにエッセイをwebページに掲載してもらったりもする。
1年前の私には想像もしていなかった、嬉しい出来事だ。なんとなく昔から文章を書くことに興味があった。読書は無知な私を知らない世界に連れていってくれて、孤独をわすれさせてくれる存在だ。大好きな作家さんのようにワクワクできる文章が書けたら楽しいだろうな、とぼんやり考えていた。
だけど子供の頃から大人になったつい最近まで、自分の文章をSNSにあげることに物凄く高い壁を感じていた。私はいたって普通の人間でガンジス川でバタフライをしたとか、エベレスト登頂に成功!とか目を引く経歴はなにもない。
それに学生時代の国語の成績は良くも悪くもなかった。そんな経歴も文才もない私が文章を人に届けたいと思ったのはなぜだろう。
きっかけは27歳になる少し前、精神的に参って週2のバイト以外の時間は、家に引きこもりがちだったとき。焦燥感と不安におそわれ家にいるのがしんどくなり、無理やり近所のブックオフに行った。
そこで1冊の本の表紙に目が留まる。『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』(ジュリア・キャメロン著、サンマーク出版)。ビビっときて気がついたら会計の列に並んでいた。「忘れた夢を取り戻す12週間の旅」と書いてあった。なんだか久しぶりに胸が高鳴り、4か月後に私は変われているかもしれないとうっすら希望が湧いた。
その本はいわゆる自己啓発本で、タイトルのまま、「自分がしたかったこと、好きなことをしよう」というシンプルな内容だった。大人になると純粋に好きなことがわからなくなる。流行りとか人からの評価とか色んなものが絡まって、心から好きと言えるものが即答できなかった。そんな人のために、この本はさまざまな質問を投げかけてくる。
今まで生きてきて文章にたくさん救われた。実際にこうして文章を公に発表しようと思えたのも、先述した本に背中を押されたからだ。もしこの本に出会っていなかったら、一歩を踏み出せずにいたと思う。
それからSNSに文章を投稿しはじめて気がついたことがある。それは書くことで孤独や寂しさを忘れられるということ。人に喜んでもらいたいという理由で書いていたはずが、自分が癒されている。不思議だなと思う。私が好きな作家さんたちも、読み手を癒すだけでなく自身も書くことによって生かされているのかもしれない。
私は面白い文章が書けるわけでも、言葉が達者なわけでもない。それでもこの先の人生、純粋に書くことを楽しみたい。少し前の私のように孤独などこかの誰かに向けて、心に寄り添える文章を書きたい。私は書くことが大好きだ。

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