私がエッセイを書き始めた理由は大学の授業で単位がもらえるからだった。その時募集していたテーマに沿って課題としてエッセイを書くだけ、それだけだった。

そこから約4年が経ち、今度はその時の感情を忘れたくない、私が経験している苦しさを誰かが分かってくれたら少しでも報われると思って何本かのエッセイを書いた。

というのはあくまで後付けで、書くことで自分自身の気持ちが整理でき、どこか救われているような気がしたから書いていた。頭で考えるだけで、その時の感情をあまりに文字に起こすことがなかったこれまでの人生、何かがうまくいかなくてもそこに目を向けて、ゆっくりと気持ちを振り返りながら立ち返って反省することはほとんどなかった。

◎          ◎

私は弱い人間だ。できれば自分の不出来なところや欠点は見て見ぬ振りをして生きていたいし、楽しいことや好きなことだけ考えて、私を大切にしてくれる人しかいない環境で過ごしたい。

でも、人生はそうもいかないよなとエッセイを書くたびに思った。人は変わるし、自分の考え方も相手の考え方も変わる。エッセイを書く中で自分の価値観や生き方、本当に大切にしたいことは何かを考えるようになった。自分が日々関わる人の影響で少しずつ変わっていくことを、自分で書いたエッセイを見て感じることができた。そして何より、多くの人の目に触れるインターネットの海にあえて自分の弱いところを書くことで、弱さを見せることは悪ではないと少しずつ思えるようになった。

「かがみよかがみ」は、私のことを棚卸して書き起こしていた場と言っても過言ではないと思う。タイピングのたびに私はこういう感情を持っているんだと感じることができたし、自分の感情をうまく言葉にできた時は嬉しかった。

そして書くだけではなく、誰かの考えに触れてこういう考え方もあるんだと学ぶことができる場でもあった。同じような経験をしてきた人、私と真逆の人生を歩む人、色々な人が綴る言葉は私に新しい発見と学びをくれた。特に恋愛ジャンルのエッセイは何本も読んだし、陰ながらこの人の恋がうまくいきますようにと願ったり、私と一緒だなあと共感したり、この人に弟子入りしたいと思ったりした。日常生活でかかわりを持てる人の数には限りがあるかもしれないけれど、このサイトを開けばそれ以上の人の価値観や考えに触れることができていたので、今後その機会が少し減ってしまうと思うと寂しい気持ちになる。

◎          ◎

私は、「かがみよかがみ」で決められたテーマに沿う形でエッセイを書くことで自分のことを棚卸ししてきたので、今後どこで何を書くことでそれができるのかは一切思いついていない。でも、伝えたい人に伝えたいことが伝わるように、自分自身の気持ちを整理して自分が生きやすい世界と大切にしたいことを守れるように、何かの形でこれからも書くことを続けていく。