先日旦那と二人で電車に乗った時、ドア横に素敵なお姉さんが立っていた。顔は見えなかった。髪は艶々のセミロング。上質そうな生地のベージュのポンチョにブラックのショートパンツ。そこからすらりと覗く白い生足と、深いブラウンのロングブーツ。

私は「ポンチョ、欲しかったんだよなぁ。ブーツ合わせ可愛いなぁ」と思って後ろ姿を見つめていたのだが、その時旦那が私に小声で言ったのだ。「あのお姉さんの服装、かっこいいと思わない?」と。

旦那は普段ファッションには無頓着なタイプだ。彼がそんな風に見知らぬ女性のファッションを、しかも後ろ姿で評価して私に耳打ちしてくるなんて、珍しいとかそんなもんじゃなかった。私も一応「うん、私もあんなポンチョ欲しい」と返したが、そんなことよりも、である。旦那に「かっこいい」と後ろ姿で思わせるあのお姉さんのセンス、100億点満点。

私の服装や髪型、メイクについて、全く興味がない旦那

私は若輩者ながらママ業をやっているのだが、幼稚園に送迎にやってくる同業者を見ていると、見とれてしまうことが多々ある。「あ~、素敵。良い職場で働いているんでしょうね~」と。

専業主婦にとってファッションや美容は、家庭というカンパニーから与えられる福利厚生の一部だと思う。金銭的な支給だけではなく、そこに時間や情熱を割くことを応援してくれる社風があるかどうかも重要。そして旦那が見た目の変化に気付いて褒めてくれれば、その上私の努力を可愛いと言って愛してくれれば、その企業に骨を埋める覚悟もできるってもんよ。

とか言っといてなんだが、弊社の共同経営者(旦那)はとにかくファッションに無頓着なので、私の服装や髪型、メイクについて、全く興味がない。変化にも気付かない。しょんぼり。
でも私もいつか言われてみたい。「今日のいくらちゃんの服装、かっこいいね」と。

自分の思うおしゃれを知って欲しいし、旦那の思うおしゃれも知っておきたい

どうしたらいいんだろうかと考えたけれど、皆目見当がつかない。私はおしゃれではないのだ。好きなファッションの系統が定まっていないので、手持ちの服の系統もバラバラ。何をどう組み合わせても、パッとしない組み合わせになってしまう。未だに大学生時代の服(10年選手)も現役、ママ業に必要な服も少しずつ買い揃えてきた。クローゼットの中身はカヲスである。

また、そもそも私は今妊婦なので……と言い訳しようにも、ママ友の中でもおしゃれな人はいくらお腹がデカかろうがおしゃれ。それは現地で調査済みなので間違いない。

あ~早々に行き詰まった。どうすればいいのか。そもそも、私が思うおしゃれの定義と旦那の思うおしゃれの定義が奇跡的に一致したことを確認できたのは、ポンチョのお姉さんと電車で出会った時、その一度きりなんだよな~。旦那がどんなファッションをおしゃれだと思っているのか、よく分かっていないというのが現状なのだ。

2人の思うおしゃれが完全に一致する必要はない。それでもこれからは時々「こんな服が好きなんだよね~」とか「この髪型にしてみたいんだけどどう思う?」とか、話してみようと思う。自分の思うおしゃれを知って欲しいし、旦那の思うおしゃれも知っておきたい。
そうすれば。きっといつかは、私も。