私が抱きたい女だけど、付き合いたい女じゃないってことに気づいたのは、大学4年生の頃。

昔は、私だって体を重ねれば、気持ちが入ってしまう女だった。

彼はいつか「私の気持ち」に気付いてくれると、淡い願いを込めていた

16歳の頃からずっと憧れていた、優しくて面白い彼と体の関係が始まった大学3年生の冬。憧れだった人とご飯に行けるだけで浮かれていた、あの頃のピュアな気持ちが懐かしい。

一緒にご飯に行ってお酒を飲んで、結局そのままホテル…というありきたりな流れ。告白も愛の言葉もなかったけれど、あの頃の私はSexした=彼女になったんだと思っていた。

でも、何回かこの関係を続ける中で、彼から発せられたのは私への愛の言葉ではなく「好きな人いないの?俺にも誰かいい人いたら紹介して」という言葉だった。

私は彼女じゃないの? これってSexだけの関係なの? と頭の中がパニックになりながらも、精一杯の強がりで「好きな人?特にいないかなー」と返した。

でも、いつか私のことを見てくれる日が来るかもって、そんな可能性なんてほとんどないのを分かっているくせに、分からないふりをして彼との関係を続けた。

Sex後、背を向けて寝てしまう「彼の背中」を見ながら何度も涙した

そのうちに、彼のことを好きな気持ちに蓋をするようになって、私と彼は体だけの関係なんだと割り切れるようになっていった。

それでも、Sexをした後は私に背を向けて、寝てしまう彼の背中を見ながら何度も涙した。「もう絶対会わない」って心に決めるのに、また時が過ぎるとそんな心の痛みは忘れてしまって、彼に会いたくて自分から連絡してしまう。「体だけでもいいから求めてほしい」と願って。

そんな日々が2年くらい続き、彼の転勤が決まった。物理的な距離ができてしまった私たちは、心の距離が遠くなるのもあっという間で、そのままあっさりと終わりを告げた。

それからの私は、たくさんの男性と体を重ねるようになった。都内一等地の誰もが知るようなお店に連れてってくれたり、高級ホテルのバーでお酒を飲ませてくれたり、一生懸命アプローチしてくる男性たち。

私を求める男たちは、良い女を横に連れている「自分」が好きなだけ

でも、彼らが好きなのは私じゃなくて、“良い女を横に連れている自分”が好きなだけ。彼らがほしいのは、私じゃなくて“私の体”だけ。
私は、彼らのいつも帰れる場所、帰りたい場所にはなれなくて、たまに寄り道したくなる場所に過ぎない。だから、ちょっとだけ寄り道をして、みんな自分の家に帰って行く。

ほんとはすごく悲しくて「体だけじゃなくて全てを見てよ」って心の底から願っているのに、平気なふりをして笑顔を振りまくの。まるで、お人形みたいに。

でも、きっといつか私のすべてを見てくれる人が現れるんじゃないかって、淡い期待を抱きながら、今日も私は夜の街を彷徨うの。