また今年もクリスマスコフレが買えなかった。
いや、厳密に言うと、まだ在庫が残っているブランドも、発売日を迎えていないブランドもあるのだから、「今年もクリスマスコフレを買わずに終わりそう」と言うのが正しい。
あなたはどこかのブランドのクリスマスコフレを買いましたか?

クリスマスコフレとは、クリスマスシーズンに各ブランドから発売される、限定のコスメセットのことだ。各年の年末にしか手に入らないときめくパッケージ、中身の商品も既存の人気アイテムにアレンジが加えられていたりして、各ブランドを推すマニアにとっては堪らないものなのだと思う。
毎年秋から冬にかけて、百貨店や公式サイトで争奪戦が起こる、コスメ界の秋冬の風物詩、なのだそうだ。

だそうだ、と言うのも、私はそこに参戦したことがない。クリスマスコフレという言葉を知ったのも、去年のことだ。そもそも私はデパートコスメ、通称デパコスを普段使いしていないので、当たり前っちゃ当たり前なのだが。

しかし最近、一般人のコスメに対する意識は高まっている気がする。バラエティショップやドラッグストアでも、発売されると同時に在庫切れになるプチプラコスメが数多く現れた。その様な現象は、言わずもがな、インフルエンサーやYouTuberによる影響が大きいと思われる。

コスメの魅力に引き込む美の女神たちの「美の波動」を浴びて

私自身もここ数ヶ月、美容系YouTuberの動画を見ることにハマっている。元美容部員だったり、コスメヲタクだったり。紹介してくれるお姉さま方は皆美しく、物腰も柔らかい。なのにウケる発言や企画もかましてくれる。そして当然、コスメの知識が豊富なのだ。

私にとって彼女達は女子力の権化、美の女神。コスメの知識がある層にもない層にも支持される、テーマのチョイスと発信力。それでいて、すっぴんを全世界に配信しながら時折本音も漏らす、芸能人とは異なる素朴さ。私はSNSやYouTubeから情報を得るのと同時に、同世代の彼女達から発される「美の波動」を、画面越しに浴びている。

振り返ってみると、私がファッション誌を初めて買ったのは、たしか中学生の頃だった。それには塗って剥がせるマニキュアや爪ヤスリが付録として付いてきたり、女児向けコロンのPRとして、謎に甘い香りのするページがあったりした。お化粧に初めて興味をもったのはこの頃だった。

キラキラ輝く「クリスマスコフレ」は全商品予約完売の高嶺の花

そして大人になり、去年の秋頃。私は初めて美容誌を買った。それにもミニサイズのサンプルが付録に付いていた。誌面の中身は、ズラッと並んだ化粧品と、その説明、そして商品相応の価格の紹介。色々なテーマに合わせたオススメのラインナップや、芸能人のポーチの中身特集などなど。

興味のない人からすれば「チラシの寄せ集めじゃん」と言われてしまう可能性もある美容誌。しかし、既に(やっと?)その頃には最新のコスメやハイブランドに興味津々となっていたアラサーの私にとっては、なんとも夢の膨らむ一冊だった。
そしてそこに載っていたのが、キラキラと輝く「クリスマスコフレ」達。しかし、私がその特集を見た段階では、時、既に遅し。気になったブランドを調べてみると、全商品が予約完売。争奪戦の片鱗を見て、情報戦で負けた。

今年も秋から各ブランドのクリスマスコフレのラインナップが発表された。私がそれらを雑誌やスマホでざっと見て、1番気になったのはボディークリームのカルテット。4つの小瓶にホイップクリームのようなボディークリームが詰められた数量限定のクリスマスコフレだ。

顔に塗るものではないので、厳密にコスメか?と問われるとかなり微妙だが、その辺りが初心者の私に刺さったのも、ムリはない。なんだかこれなら、普段デパコスを使わない私が買っても、許される気がして。いや、別に誰も怒らないだろうけど(旦那も怒らないと思う)。

パッケージの中の宝石達は手に入れるまでが華なのかもしれない

しかし気付けば寒くなってきて、もう12月に入る。今、公式サイトを見たら、ボディークリームのセットは既に売りきれていた。もしかしたら今からでも色んなサイトや百貨店を巡ればまだ手に入るのかもしれないが、そこまでする気力があるならば、もう既に予約してでも買っているという話で。つまり私は、また今年もクリスマスコフレが買えなかったという訳だ。

私は別に女子力の権化や美の女神になりたいわけではない。しかし、推しが推すクリスマスコフレ、ちょっと気になるじゃないですか。来年は買えるだろうか……

私の誕生日は12月で、2021年には30歳を迎える。プレミアムな誕生日プレゼントの意味合いも込めて、来年はサンタさん(旦那)におねだりしてみてもいいかもしれない。というか、そうでもしないと、いつまでも私はクリスマスコフレを手に入れられない気がする。

あの素敵なパッケージに閉じ込められた宝石達は、それくらい私の遥か彼方、宇宙の向こうで輝いているものなのだ。…もしかしたら、手に入れるまでが華なのかもね。