最近、自分の身体について考えることが増えた。

というのも、こんなご時世になり、一人でいる時間が、以前と比べ物にならないくらい増えたからだと思っている。人と物理的に距離を置くことによって、他人を通して自分を見ることが減った。友達ときゃらきゃら楽しく群れることもなく、歩いて二十分かかるコンビニに行く時以外、他人の目も気にしないとなると、必然的に、自分のことを見るのは自分しかいなくなるのだ。

どうして自分はメイクにさほど興味を惹かれてこなかったのだろう

一番目に入るのは、やはり、自分の顔である。

朝起きて、手を洗うために、洗面所に立つ。なんとなく顔を上げて、鏡を見る。目の前には、寝起きの、憮然とした、なんとも言えない顔がある。ぼやぼやしながら、開きっぱなしの毛穴とか、それなりの頻度で新しいニキビを見つけたりする。

私はそんな自分の顔が、誰に言われるまでもなく好きだけれど、ここ最近、一人の時間にとくに考えるのは、どうして自分はメイクというものにさほど興味を惹かれてこなかったのだろうということだ。

成人式と、大学の卒業式。私が経験したメイクは二回、それもプロという名の他人によって施されたものだけである。

自分自身に身に付いた習慣はスキンケアが最大で、夏はまあ日焼け止めにも手が伸びたりするが、言ってしまえばその程度。自分で眉毛を整えたことすらない。馴染みの美容室でたまに気付いた時に揃えてもらうくらいだ。

メイクをしてこなかった私が、興味を持ち始めている

周囲の誰に言われたわけでもないが、ごくごくたまに考えるのは、二十代半ばの、女性という性別で生きている人間が、自分の手で、自分にメイクをしたことがないというのは、もしかして世間から見るとおかしなことなのだろうか、というわりとどうでもいい疑問である。

何故どうでもいいかと言うと、そんなの別に人の自由だし、興味がないならないで別にいいのでは? メイクをしろと強制してくるような社会ともまだ関わりないからな、という結論がすでに出ていて、何度も反芻されているからであった。

しかし今、自分の身体を自分一人で眺めていたからか、こんなご時世でとびきり時間が出来たからなのか、遅れてきた目覚めなのか何なのか、メイクに興味を持ち始めている。

そしてどうしても、メイクと言うよりお化粧と言った方がしっくりくる私である。

最近は、いわゆる、美容系YouTuberさんたちの動画を観ている。だけど、だいたいそのコスメなどを紹介しているYouTuberさんが可愛い! 素敵! という感想でたちまち脳が融けて、知識として吸収する所まで追い付かないのが現状である。他人を貶めない方向で、可愛くなろうと努力する人は皆可愛いし、素敵だと思う。

化粧は自分のためにしなければあんまり意味がないと思う

二十余年素っぴん丸出しで生きてきたけれど、それはそれで私は私自身を愛しているし、いつまでも、自分自身が、世界で一番大切にしたい人間のうちの一人であることに変わりはない。ただ、化粧に興味が湧いてきたのは、それを行って、新しいことを覚えた自分は、きっともっと愛せるだろうな、そんな自分を愛してみたいな、という、確信と好奇心からだと思う。化粧はやっぱり、自分のためにしなければあんまり意味がないと思うのだ。

取りあえず、あんまりお金のかからない所から。ちまちました無理のない筋トレと、鏡の中のぼけっとした顔を覗き込んで、産毛を剃る所から始めてみようと思う、今日この頃である。