高校生になって知った現実。
それは、可愛い同級生とそうでない自分との間には、いくら頑張っても埋めることのできない、大きな差があるということ。中学生の頃から何となく勘付いてはいたけれど、それとは比べ物にならないくらい大きな差。
可愛い同級生は私の知らない世界を経験している
「昨日○○とこんなやりとりをした」
「風邪で休んだら○○先輩がわざわざお見舞いメールしてくれた」
「あの子と○○がデートしたらしい」
何気なく発せられた数々の言葉。○○はもちろん男性。どれも私には経験のないことばかり。
同い年、同じ制服を着て同じ学校にいるはずなのに、圧倒的な経験値の差のように思えた。高校生の私にとって、学校は世界の全て。教室や部活という小さな空間は息苦しかった。
今までは、勉強も部活も努力してきてそれなりに成果を出してきた。でもこればっかりはどうにもならない。
ついに私は、「可愛くないのは遺伝のせいだ」と母を責め、泣かせてしまった。容姿に対するコンプレックスは、大学生になっても続いた。
初対面のOBの沈黙 可愛い友達と自分の差
大学のサークルで追い出しコンパに参加していたときのこと。会場にいた一人のOBと出会った。この出来事が私を長い間苦しめることとなる。
私は同期の女子Aちゃん、Yちゃんと三人で楽しくお酒を飲んでいた。すると、私たち三人に目をつけたOBがこちらへやって来た。
OB「はじめまして」
Aちゃん「はじめまして、Aです」
OB「君みたいな子、うちのサークルにはもったいないくらいきれいだなあ~!」
Yちゃん「はじめまして、Yといいます」
OB「顔面偏差値70だね!」
(うわぁ、逃げたい…。この人初対面やのにいきなり容姿のこと触れるやん…。何て言われるんやろう…。)
さすがに逃げるわけにもいかず、どきどきしながら挨拶をした。
私「はじめまして、ゆきみです」
OB「………ああ。………………」
私が挨拶するや否や、それまでのOBの表情と空気が変わった。
沈黙は言葉と同等に、あるいはそれ以上に恐ろしいものとなり得ることを、身をもって知った。面と向かって、「お前はブスだ」と別に言われたわけではない。でも、「お前はブスだから何も言う言葉がない」と、言われてもない言葉が聞こえてきた。
この後のことはよく覚えていない。辛過ぎて記憶が消えたのかもしれない。あの長い沈黙はナイフとなって私の心臓をえぐった。
可愛い友達と私。この差は一体何なんだろう?
可愛い友達と楽しく一緒にいるとき。そこに男性が現れれば、それまでの穏やかな気持ちが一瞬で崩れ去る。私はいつもおまけ。いや、おまけにすらなっていないこともある。
知り合って間もない男性に、「こういう性格なんだろう」と容姿だけで決めつけられたこともあった。彼らが嘲笑ったことは忘れない。
可愛い友達と私。この差は一体何なんだろう?
自分に似合うものを見つけると、少し自分を肯定できるようになった
社会人になってから、運動不足解消のためにと気軽な気持ちでジムに通い始めた。慣れない筋トレは辛かったけれど、頑張った分身体が引き締まったことが嬉しかった。
身体が引き締まれば、洋服を選ぶのも着るのも楽しくなった。メイクや髪型もたくさん研究した。
新しい美容院で自分に似合う髪型を相談したら、「ショートヘアが似合う」と言われた。少し抵抗があったけれど、勇気を出してバッサリ切ってもらった。
会社に行くと、「めっちゃ似合ってる!」「可愛い!」と言ってもらえた。男性から「似合ってるね」なんて言われただけで、舞い上がる気分だった。たった何センチか切っただけで、周囲の反応はこんなにも変わるものか。自分のことを少しずつ肯定できることが嬉しかった。
自分の容姿に今でも自信はないけれど
正直、自分の容姿に今でも自信はない。特に男性と話しているときは、「ブスだと思われていないかな」と必要以上に今も気にしてしまう。でも私はあの経験を経て、私に似合うものを見つける楽しさを、自分を肯定できる喜びを知った。
実は前から、この辛かった過去の記憶を言葉にして昇華したいと思っていたけれど、どこに、誰に向けて書いたら良いのかがわからなかった。偶然この「かがみよかがみ」に出会い、多くの女性が私と同じように悩んだり傷付いたりしてきた過去を持っていることを知った。
こうやって言葉に残すことで、一人でも多くの人に読んでもらえたり、少しでも何かの救いになったりしたら嬉しいです。