「髪、さらさらだね」「今日のヘアスタイル、かわいいね」

友だちからも美容院のお兄さんからもそう言われることが多かった私は、自分の髪が好きだ。もっと褒めてもらいたいし、自分がしたいヘアカラーやヘアメイクをできるように、それなりに時間もお金もかけているつもりだ。

私は、その日着る服を決める→メイク→ヘアメイクの順で身なりを整えるので、最後のヘアメイクがうまくいった日は“キマった!”と思うし、その逆だとなんだか微妙に気分が上がらなかったりする。
それくらい、私にとって髪は大切なものだし、アレンジするためにミディアム~ロングをキープしていた。

潔くて、女性らしい。憧れのショートカットに思い切って挑戦した

でも、あるとき、ショートカットにしてみたいと思うようになった。
というか、たぶんずっと憧れていたんだと思う。ばっさりと潔く、でもどこか女性らしさを感じるショートヘアに。
私がショートヘアにしなかった(できなかった)のは、ヘアメイクのためでもあるけど、本当は顔の丸さを気にしてたから。
だからお団子ヘアやポニーテールにするときは絶対に顔周りの髪を残すのがお約束。カッコよく全部の髪をアップにすることはできなかった。

小顔マッサージやマッサージ器を使ってケアをしても、顔の大きさが気になる。
でも、もうそろそろ髪も切りたい。
思い切って、いつも髪を切ってもらっている美容院のお兄さんに相談してみた。すると「似合うと思うよ~ずっと長かったし、いいんじゃない?」とさらっと私の背中を押してくれた。

「じゃあお願いします!あと、できるだけ小顔に見せる感じで…!」
最後の一言にクスっとされたけど、「かしこまりました。では、切っていくね!」

ドキドキしながら仕上がりを待つ。鏡に映ったのは、理想通りの私

サクッ、サクッとはさみが入り、髪の束が落ちていく。
(あー、どんどん短くなっていくー。いや、頼んだの私だけど……)
なんて心の中で叫びつつ、平然を装いながら雑談を交わす。
実のところ切ってもらっている間、ずっとドキドキしていた。
切った髪はもう伸びるまで戻ってこないから。

でも、最後、前髪も整えてもらったとき、顔の丸さも気にならない、私が思い描いていたショートカットになっていた。
自分の新しいヘアスタイルに嬉しくなりつつ、“やっぱりプロなんだから!”と不安になった自分をたしなめたりもした。

少し明るめにカラーリングしてもらって、仕上げにスタイリングをしてもらい、“一番かわいい状態”になってお店を出た。

服もメイクも変えてみようかな。髪型一つでワクワクが広がる

ふと鏡や窓に映るショートカットの自分が新鮮で、目に入るたびに嬉しくなってしまう。
せっかくだし、今の髪型に合いそうな新しいアイシャドウや服も探してみたくなった。
なんだかヘアスタイルひとつでそこまでする?と思われるかもしれないけど、この髪型の私がもっとかわいくなるアイテムを見つけて、毎日が楽しく過ごせるなら必要経費だと思う。

来年、30歳になる私は、どんなヘアスタイルを楽しんでいるだろう。“大人の女性”らしく前髪を伸ばしててもいいし、相変わらず眉上でもいいなぁ。