「ふつう」とはなんだ。
思えばぼくは昔から変わり者だったのだろう。

新しい街に引っ越した時から、小さな違いが目につき始めた

今から18年前の9月ぼくが生まれた。ぼくには生まれた時から父はいなかったらしい。保育園には(ふつう)がありふれてたけど何故かぼくにはなかった。毎日ぼくを送ってくれたのは兄で周りの子を毎日送るのは母親。
毎日ぼくを迎えに来るのは兄で周りの子を毎日迎えに来るのは母親。運動会はぼくは先生と周りの子は両親と。

保育園から小学校3年までは生まれた時からいた場所だから特に周りからの目はなかった気がする。
新しい街に引っ越した時から小さな違いが目につき始める。
小学校4年の時ある子が言い出した。

それは周りの子からしたらきっと「ふつう」に気になったから聞いただけだろう。その一言で周りの目が変わった。「どうしてお父さんがいないの?」「なんでお母さんだけなの?」ぼくは気にしたことはあまりないしなんとなく母親には聞いちゃいけない気がして理由は知らなかったからぼくが答えられないでいると「変なの!」「きもちわりい!」そんな言葉が飛びかった。

ぼくは昔から感情が乏しい子供でなにが変なのか良くわからなかった上に変わり者だった。
でもやっぱり子供で言い出しっぺの子を突き飛ばして泣かせてしまった。その子は泣いて先生が来て保護者を呼ばれたけどやっぱり母親は来れなかった。
ぼくは何を話しても無意味な気がしてその日は先生と一緒に帰ることになったのだが帰り途中先生がどうしてあんなことをしたのか聞いてきた。ぼくはうるさかったから突き飛ばしただけと嘘をついた。本当は母親を馬鹿にされてる気がして嫌だったんだと思う。

学校の教師が家庭環境を知ってるのはわかっていたから腫れ物みたいな態度が見たくなかったのかもしれない。現に先生はぼくを可哀想な子を見るような目で見ていたと思う。

それから一年近く学校には行かず家で調べ事をしたりしていた。
5年生になるとはみ出しものと呼ばれるようになっていた。相変わらず教師たちはぼくを可哀想な目で見ていて周りの子からは怖がられるようになっていた。
そんな状態で小学校卒業式を迎えた。

卒業式に母親は来てくれて嬉しかった気がする。
中学に入学した時母親は来れなくてぼく1人で行ったのが未だに覚えてる。
少しぶかぶかな制服を着て両隣には誰かがいる同い年の子。少し恥ずかしそうにする子やワクワクした顔の子、緊張してる子。
その後ろをぼくは1人真顔で歩いていた。

やっぱりぼくには不思議で理解できなかった。

何より強くなりたくて。警察官になるために、中学で柔道へ

中学に入ると今までと違いいろんな問題が出てきた。

例えば性別について考えたり、恋人ができたり、コンプレックスが目立ったり家庭環境だったりetc.etc.、、
それはきっと誰にもあることだけどぼくは人一倍問題があった。
まず部活に入った。柔道部だ。

理由は警察官になってみたかったから。警察官になっていろんな世界のことを知りたかった。
何より強くなりたいと思ったんだと思う。
でも半年後怪我をして大会に出れなくなって全てに絶望感を抱いた。怪我をしたぐらいでって思うかもしれない。ぼくはクラブにも入って警察学校の勉強をこの時からしていた。けれど現実は甘くないみたいだ、故障者は繰り返すリスクが高い上怪我をして半年も練習ができないと言われたからだ。

それに当時は義理の父がいて家庭環境は悪化する一方でそれどころではなかったのだろう。
それからの中学生活は昔と同じはみ出し者に逆戻りの日々を過ごした。

自分自身にいつも疑問を抱いていた。意識したことはなかったけれど

話が変わるが、ぼくはいつも疑問を抱いていた。何にかと言うと自分自身にだ。
ぼくの性別は女性なのに服装、言葉遣い、身の振る舞いはまるで男性だ。
気がついたらこうなっていて、意識したことはなかった。

あえて言うとぼくはぼく。主人公でも村人でもなくただのぼくなんだとみんなに知ってもらいたい。
あなたはなんですか?
改めて問いたい。
「ふつう」とはなにかを。

最後に
結局何が言いたいかと言うと当たり前にある「ふつう」ってなんだろうって思った時今までの経緯を振り返るとわかる気がしました。それは価値観だったり、信念だったり人それぞれ違うもので、理解するのは難しいのかもしれません。ただこれだけは言えます。

あなたの「ふつう」とは違う誰かの「ふつう」を理解できなくても否定しないでほしい。
それは理解されないことより何よりもとても悲しいことな気がします。