自分らしさを押さえつけて会社のルールに従いながら、淡々と働く。
「働くとはそういうものだ」と私は無意識に考えていたように思う。

私は、来年こそ転職を叶えたい。
会社のやり方や雰囲気に自分を無理やりフィットさせるのではなく、自分らしさを生かせそうな働き先を選ぶ。
次に働く職場はそんな選び方ができたらいいな、と思う。

男性が9割。気持ちより理屈が優先される職場

そんなふうに思ったきっかけは、前の職場の雰囲気。
前職はITエンジニアをしていたのだが、エンジニアの職場特有の雰囲気というものが存在していた。
職場は男性が9割。それも理系の人の割合が多い。
それはどういうことか。とにかく論理的に動き、自分の感情を置いてきぼりにしながら淡々と働いていくことを求められることだった。

仕事を始めたばかりのとき、先輩への報告を求められた。過程から順番に話をしていたら「結論を早く言って。過程はどうでもいいから」と言われた。
友達と話すようなふわふわした話し方をしようものなら「ハッキリものを言え!なにが言いたいんだ!」と上司から怒られた。
システムトラブルを起こして冷や汗をかいたあと「またトラブルを起こしてしまうのが怖いです」と上司に言ったら「お前の気持ちは聞いてない」とはねつけられた。

私は無駄な部分も、感情も、大事にしながら生きていきたいけれど

そのやり方が仕事を進めるために必要なのだというのはわかる。
けれど私は無駄な部分も、感情も、大事にしながら生きていきたい人間だ。
仕事に関わるのは感情を持った人間。自分の気持ちを共有したい時だってある。
ちゃんと報告したいけどうまく言葉にできなくて、ふわふわした話をしてしまうこともある。
それを頭ごなしに否定されるのだ。自分らしさを否定されているようで、胸がふさがれていくような気持ちになっていった。
そんな中でも働いていかなければならない。

理屈っぽく話し、ふわふわした話し方をやめた結果…

私は理屈っぽく話し、ふわふわした話し方をやめ、聞かれたこと以外の余計なことは答えないようにして、会社に合わせて自分を無理やりカスタマイズするようになっていった。
そうしていると、だんだん自分の考えていることがわからなくなってくる。
そして仕事でもプライベートでも、自分の気持ちを言葉にする方法を忘れてしまった。

そのあと、仕事を辞めた。
これからの転職に向けて気持ちを整理したくて、コーチングに通うようになった。
自分のこれまでの人生を聞かれたとき、仕事で話すときの癖で気がついたら事実ばかりを並べ立てていた。
「起きたことはわかった。それであなたはその出来事に対してどう思ったの?」
コーチのその言葉にハッとした。
そうやって人と話す時、事実を話してばかりで自分の気持ちを話すということを忘れていたのだ。気持ちを共有してこそコミュニケーションなのに。
前の職場で働いているうちに私はずいぶん、コミュニケーションが下手になっていたらしい。

やっぱり私は気持ちを共有するコミュニケーションが好きだ

社会というのは、みんなが得意なことを少しずつ持ち寄って動いていくのが理想なんだと思う。それならば、私も得意なことや自分らしく動ける場所を見つけていくのはどうだろう。
仕事を辞めてから2ヶ月。好きなことや得意なことをノートに書き出して転職の軸を少しずつ固めてきている。
いろいろと書き出してみた結果、やっぱり私は気持ちを共有するコミュニケーションが好きだ。
自分の感情を話すことで前に進むことができると思っている。
ときどき雑談も挟みながら、一緒に働く人がどんなことを考えているのか知りながら働いていきたい。
自分の考えていることや気持ちを素直に表現していけるようなそんな場所に、出会えたらいいなと思う。