結婚どう思う?この言葉はこの先も僕を悩ませる言葉になるのだろう。
同時に、この言葉を聞くたびに何度でも自分に言い返す。「しなくてよい」

結婚は誰かの幸せであって、僕には決して手に入らないものだと思う

僕は田舎に住んでいる。田舎というのは昔の風習が強く根付いている所があり、結婚もまたそのひとつだ。
周りを見ると、みんな結婚をしている。若くして結婚し、子供を産んで、育てている。そんな当たり前の流れがこの田舎では絶対で、それをしない人はなんだか変な目で見られてしまう。そんな田舎だから、結婚どころか男性とも付き合わない僕はさぞおかしな生き物に見えるだろう。

僕はまず女性ではない。あ、いや、生物上は女性なのだが、中身は女性ではない。だからといって男性でもない。僕はXジェンダー…つまり中性だ。身体だけが女性で中身はどちらでもない生き物だ。そんな僕が結婚について書くのは実に滑稽かもしれないが、こんな考えもあるのだ。というスタンスで見てほしい。絶対という考えなど存在しないのだから。

僕は来年で29歳になる。僕には姉が2人いて、一番上の姉は三人の子供を持つ母親だ。その姉からよく「早く結婚して子供産まないとあんたひとりぼっちになっちゃうぞ!」と心配の言葉を電話越しに言われる。その言葉を言われる度に僕は笑って誤魔化しているけれど、正直、結婚しようとも子供を産もうとも思わないし、思った事すらない。逆に何故そのような気持ちが持てるのか、僕は不思議で堪らない。

そもそも人は何故結婚するのだろうか?やっぱり寂しいからだろうか?それとも安泰したいからだろうか?将来の不安から逃れたいからだろうか?人それぞれ結婚の理由はあると思う。僕はエッセイ漫画で夫婦生活のドタバタを見ると微笑ましくなる。結婚によって幸せを手に入れた人も沢山いる。
でも、それは誰かの幸せであって、僕には決して手に入らないものだと思っている。

「愛する人を苦しめる事が結婚ならば、僕はしない」と強く誓っている

僕の両親は気付けば喧嘩ばかりしていた。異常なまでに暴言を吐く父親。それに耐え続けている母親。それが毎日毎日繰り返される。一度母は耐え切れず、僕たち3姉妹を置いて家を出て行ってしまった時もある。流石に50歳半ばを過ぎた父親は今では少し落ち着いたけれど、やっぱりその名残はある。そしてその言葉の呪いは子供であった僕たち三姉妹を苦しめ、歪ませてしまった。僕たちの受け取り方はそれぞれ違ったけれど、僕はそんな両親を見て「愛する人を苦しめる事が結婚ならば、僕はしない」と強く誓っている。

こんな事を書いているが、僕は結婚を否定している訳ではない。結婚によって幸福を手に入れる人だっているからだ。ただ、結婚の理由が「何らかの物的欲求を相手が満たしてくれるから」ならば僕は決してその人との結婚をおススメしない。それはその物的欲求が思いがけないトラブルで満たされなくなった時、相手が途端に邪魔者になるからだ。結婚というのは互いを尊重しあう事で初めて上手くいくのだと僕は思う。もし、こういう相手が欲しい。と思うならば、まず自分がその人にならなくてはいけないのだ。

まずは目の前の人に目を向けて、しっかりと向き合ってほしい

僕の父親は「家族の愛」が欲しかった。けれど父親は乱暴者で感情のセーブが効かず、攻撃ばかりしてしまう。そしてその「家族の愛」をくれない僕たち家族を「邪魔者」と認識し、攻撃し続けた。悲しい人だ。
人は人を思いやり、人の幸せを願うことで初めて愛される。欲している限り、決して満たされることは無い。
自分の欲求を満たす為だけに結婚するなら、決してしてはいけないと思う。父親は「家族の愛」を欲して、結婚してしまった。だから僕たち家族はおかしくなってしまった。

僕は結婚はしなくてよい。と思っているけれど「結婚どう思う?」と人から聞かれたならば、いいんじゃないかな。と答える。
ただし、それはどんな理由で?という一言を付け加えさせて頂きたい。
相手がかっこいいから。お金を持っているから。仕事が安定しているから。そういう理由ならば、僕は止めた方がいいと思う。それがなくなった時、その人を好きでいられるのか、考えてほしい。

結婚は絶対なんかじゃない。しなくたってよい。その人に必要ならば、結婚したっていい。しない方が幸せです。という人も沢山いる。
けれどその沢山の人の中で、相手を思い合い、大切にしあえる人が出来た時、出会えた時。それはとても幸福な事なのだと僕は思う。それが男女でも、男性同士でも、女性同士でも。
結婚も大切かもしれないけれど、まずは目の前の人に目を向けて、しっかりと向き合ってほしい。
その人が何か特別なモノを持っているから、何か特別な縁を持っているから、ではなく、その人自身を、ありのままのその人をまず見てほしい。

それが結婚に、そして今の世界に必要な事だと、僕は思っている。