私にはかけがえのない存在がいる。
気づいたら隣にいて、気づかないうちに大好きになっていて、その人といると、一緒にいるだけで幸せになれる。大切で大好きな人。

その人と私には2人にしかわからない合言葉がたくさんある。古典文法をアレンジした掛け合い合言葉。かわいい掛け声の合言葉。ひらがな1文字だけの合言葉。どれも通じるのは私たちだけ。

一緒に創作をしたら2倍、3倍…いや5倍くらい大作を作ることができた。一緒にピアノを弾いたら、1人で弾いている時より2倍、3倍…いや10倍くらい楽しくピアノを弾けた。息もぴったり以心伝心。何をするのも一緒が楽しい。

楽しいから一緒に旅行に行く。1年で1番楽しい日になる。楽しいから一緒にお風呂に入る。話が盛り上がりすぎてのぼせそうになる。楽しいから夜ゆっくり話をする。夜中かと思ったら日が昇っている。一緒にいて飽きたことは一度もない。

そんな私の大切で大好きな人は、2つ年上の姉だ。

周りがなんと言おうと姉が大好きだった

何をするのも姉の後を追いかけていた。ピアノだって習字だって塾だって、全部姉がやっていたこと。私は姉の背中を見て育った。姉の方がよくできることが多くて悔しい思いもたくさんした。でも、それ以上に姉と同じところに立てることが嬉しかった。

姉が好きすぎることで周りを困惑させたこともあった。小学生の時の卒業前に家族に感謝の手紙を書こうという授業があった。両親やお母さんお父さんに手紙を書く人がほとんどの中、私は姉に書いた。母は少しショックを受けていたが、姉は喜んでくれた。

学校の友人が兄弟姉妹のよくあるイライラ話をしていたが、私はどうして兄弟姉妹が仲良くないのか不思議に感じた。私は姉とすごく仲が良いことを熱弁すると、愛が深すぎて、少し引かれしまうことがあった。

でも、私にとっての姉は、周りがなんと言おうと大好きだった。
いつからこんなに好きになったかわからない。でも、幼い時の写真に写る私の目線は姉の方を自然と向いていて、気づかないうちに好きになっていたんだな…と思った。

かけがえのない姉との別れが決まる

そんな姉が仕事の関係で家を出ることに決まった。一緒にいることが当たり前すぎて、あまり実感がなかった。家を出ることが決まった日からあと何日と…卒業式のようにカウントダウンを始めた。それもあと数日ではなく、1年も前から。「あと365日だね」「あと350日だね」とカウントダウンをしていった。卒業前の嬉しさや寂しさのカウントダウンのように感じていた姉の家を出る日までのカウントダウンは、自分が思っていたものと少し違った。

姉の新しい住む場所が決まり、家具を考え出したり、荷造りの準備を始めたりすると、私は焦りと不安を感じた。
ずっと一緒にいることが当たり前だったから、姉のいない生活が想像できず、不安にかられるようになったのだ。
たまらず、姉に離れ離れになることが不安だと口にした。
すると姉が言った。
「死ぬわけじゃないんだから、そんなに大げさに考えることない」と。姉は私の手を取り続けて言った。
「私たちはそばにいなくてもずーっとずっと誰にも断ち切れない絆で結ばれてる唯一無二の姉妹だよ。ホップステップジャンプだよ。ホップで知らないうちに好きになってて、ステップで好きな気持ちでずっとそばにいて、ジャンプでそばにいなくてもお互いがずーっと好きでいる。そういうものだと思うの」
好きな人の言葉だからか、自分の中にスッと入ってくる。なるほど、これからはジャンプの時なのだと。

ホップステップジャンプでさらに深まる愛へ

私はホップ、ステップ、ジャンプの言葉を胸に、今日も姉のそばにいる。離れ離れになる日までの数日間、姉とステップ期間を楽しもうと。一緒にご飯を食べたり他愛もない話をしたり、2人で散歩したり…ただただ隣に座って過ごしたり。好きな人といるということは、それだけで幸せだから。
いつも2人で歩く道が、以前よりも少し明るく見え、気づいたら軽くスキップしながら家に向かっていた。別れがくる不安よりも、愛の最上級への道が開いていくことへの新鮮な気持ちが勝ったからだ。

ステップからジャンプでまた愛が確かめあえるんだと、ジャンプすることで愛が最上級になるものだとワクワク感を胸に、これからもずーっとずっと大好きでいる。

昨日とほとんど変わらない一日をまた終えるため、
さぁ今日も銭湯にいって、ビールを飲もっと。