枯葉舞い、冬風が刺す、我が柔肌。いつものことではあるが、春が来てから冬が来るまであっという間である。季節の移ろいを慈しむ余裕もない。むしろ体感が年々早まっているのは、絶対に気のせいじゃない。

人肌より真摯に、健気に寄り添ってくれる布団で振り返る2020年

今年、地球上に存在する人間の8割はこういうだろう、「散々な1年だった」と。大半は、今時流行りのにっくきアイツのせいである。楽しいイベントは中止、気の合う友との食事は「密」、仕事がなくなり希望もなくなる人がいれば、仕事がありすぎて希望がなくなる人もいた。私も色々と散々だった。彼氏を手放したり、余計な仕事が舞い込んだり。

もうやだ~!と絶望し、布団に潜り込むのは簡単だ。経験者が言うんだから、間違いない。どんな人肌よりも真摯に、どんな温もりよりも健気に寄り添ってくれる、布団。なんて理想的な存在なんだ。給料3ヶ月分の指輪を贈りたい気持ちになる。この季節、特にその欲求は著しく、朝目覚めてから彼の抱擁を逃れるのは、相当の覚悟と工夫をもってしても難しい。ちなみに私の汗と涙も十二分に知っていて、人生の半分以上を共にした存在である。それなんて優良物件?理想の幼馴染からの恋愛フラグか?

と、まあふざけている間にも、年の瀬。これを執筆しているのは年内最後、つまり12月31日。私は恋人(布団)に抱かれながら、来たる2021年に向けて、私は人生を振り返っているのであった。奴の襲来と同時に、色んなことがおかしくなったなぁ……私も色々おかしくなったしなぁ……慰めてくれ、布団よ。ぐずぐず。しかしそんなことも言ってられない。とりあえず、上半身だけでも起こそう。まずはそこからだ。

幸せを得る方法がコロナのせいで変わったので、不快な一年だった

起き上がると、世界は変わる。あれ、私の部屋ってこんなに汚かったっけ。読みかけの本は直置き、昨日の洗濯物は山積み、そこに御座すはクリスマスツリーである。私ったら、日々を生きるのがギリギリなのね。仕方がないので、クリスマスツリーだけでも片付けよう。ほら、ちゃんと布団から出て!……うわ、足もつれそうになった。粘着質だな、お前。ちょっと離れると手のひら返しでヤンデレ化するタイプの幼馴染だな。やっぱり都合のいいところだけ見てちゃだめだ、本質を捉えなければ。ということで恋人(布団)とは別れを告げることとする。

クリスマスツリーとその他諸々を片付けながら、ふと思った。今年起こった様々な散々は、私を不幸にしたのだろうか。いや、ここまでの文章、私は自分のことを「不幸」とは言っていない。きっと、不幸ではないのだ。強いて言うなら「不快」だろうか。散々のせいで、めんどくさいことはたくさんあった。めんどくさいことは、不快だけど、不幸ではない。何故だろう。そう思ってすぐに答えは出た。そうか、めんどくさい「不快」ってのは、あくまでも過程であり、「不幸」っていうのは結果だからか。一定の結果を得るための手段が複雑化したり変更したりしたから「不快」な一年だったけど、結果は得たし、または得ようとしている最中だから、「不幸」ではなかったと。なるほど~スッキリ~!!つまり今年は、「一定の幸せを得るための方法がコロナのせいで変わったので、不快な一年でしたね」が正解だ。少なくも私の中では。

せっかくだから、もう一度起き上がってみよう。世界は変わるのだから

さて、来年はどう過ごそうか。別名「来年の目標」とも言う。コロナの終息には行政の介入が必須だろうが、さしあたり、私が努力すればいい目標を掲げたい。最終的に望む結果は「幸せになりたい」だから、そこを細分化していこう。一番に思ったことは、コロナだなんだと、絶望したくないってこと。どうしようもないこともあるが、結果に繋がるための不快を、不幸にしたくない。せっかくだから、もう一度起き上がってみようと思う。起き上がると、世界は変わるのだから。

すると、大事なことに気づくのだ。あ、私、窓拭いてない。しかも鳥フンが付いてる。嘘でしょ今まで付いたことないのに。そう、これも不快なだけ。拭き取ればいいんだから、不幸ではないのだ。めんどくさいから不快ではあるけれど。え、ちょっと、窓クリーナーが空じゃん。来年、先行き不安だ。仕方がないので、今から買いに行くことにする。適当な部屋着でもコートを着れば、ほら、中なんてわからない。これが冬の良いところだ。こうして財布とケータイをポケットに突っ込むと、元恋人(布団)に別れを告げた。バイバイ、愛おしい人よ。私は広い世界(めちゃくちゃ寒い)へ旅立つの。感傷に浸りながら玄関の鍵を閉めると、気づく。あ、マスク持たなきゃ。も~めんどくさいな!また戻らなきゃじゃん!まぁ、ちょっと歩けばダイエットに繋がるし、これくらいの不快はいっか。