私は、いま29歳。2ヶ月ほど前に会社を辞めた。

その事実だけ残って内容まで語ろうとは思わない。でも何をしていても思い出してしまう。あの日あの時、泣かされたこと笑ったこと怒られたこと苦しかったこと、それが一気に溢れ出す。やめなきゃよかった、なんて簡単には言えないし軽はずみに言っちゃいけない。

狭い世界で生きるのが苦しくて。逃げて、自分を開放してあげたかった

経験や学びは確かに私を成長させてくれた。恋愛に限らない大きな出会いもあった。それは大きかった。でも私は、この狭い世界で生きることが苦しくなっていった。だから逃げた。自分を開放してあげたかった。休みの日にはLINEの通知をオフしても良いかなって思うほど、追い込まれていた。ワークライフバランスなんて言葉はあっても完璧に両立できる人はいないんじゃないかなって疑っていた。

最近、自分を見失わないためにも重い腰を上げて、たしかに行動を起こした。
2ヶ月前に、2年前から思い描いていた会社を辞めるという決断を実行に移した。2年という期間が私にとって、とても長く感じられて、やっと会社からも解放された安堵感に包まれている。すべては自分を失わないための大きな大きな一歩となったと今なら思える。

人によっては、会社を辞める決断が人生のうちのほんの小さな出来事に過ぎないのかもしれない。私は、何年も、人に気を遣いすぎるあまり、人の顔色を伺いすぎるあまり、自分の事にまで気が回らなくなっていった。やりたいことも好きな事も分からなくなるほど自分を見失った。一人暮らしだったからこそ孤独感もあり、何もしたくなくて、食べる事さえもままならなかった。なんとかしたいと思っても、自分の気持ちは隠した。常に周りのために寄り添い続けようとする姿勢を崩さなかった。いつのまにか抱えきれないほどの荷物を自分の中に抱えていった。そうすることで人に頼らずに迷惑かけずに居られる。そんな自分を偉いぞって思っていたか、分からない。でも周りに悟られまいと、必死で隠しながら、きっと、助けてほしいって言いたかったのかもしれない。

動画が支えになった。だんだんに前向きに捉えられるように

そうするうちに、じわじわと、そして確実に自分が壊れていく音を数えられないほど聞いていった。

休みの日でも疲れ果てているから寝尽くし、起きたら夜になっていた。一日無駄にしたって何度も思ったし自分を殴りたくもなった。でも自分を殴るほどの体力も気力もなく情けなくなった。病院に行っても病名が付くわけじゃない。こういう症状のときに、お守りで持ってなさいって言われるだけ。先生の前でも、大丈夫じゃないのに大丈夫って伝えてたから意味がなかった。誰かを頼りたくても頼れなかったから、人に頼る・甘える方法を教えてほしいって何度も叫び続けていたんだ。

そんな私を支えてくれたモノの一つが動画だった。強い力は必要ない指の動きが心地よかった。簡単に小さな画面で、いつのまにか、涙活できたり元気が出たり笑えたりした。指一本でスクロールするたび、勝手に再生されて気が紛れていった。世界中の膨大な広い世界の一面を知ることも出来た。苦しいのは私だけじゃない。でも、時には自分のために生きたって間違いじゃない。

たとえ人に迷惑をかけてしまったとしても、迷惑をかけるときは別の機会にある。それは今じゃない。

もしも私が、人知れず自分で人生を終えようとするならば、きっと残された人たちは大切な人のSOSに気づけなかったと嘆き苦しむかもしれない。そんな姿を私は耐えられない。自分を解放することへの最終手段かもしれないけど、それで本当に解決できるのかは誰も分からない。だからこそ、少しでも早くから逃げてほしい。そう願っている。

ずっと突っ走ることは過酷だから、時には自分を守るために逃げても良いときもある。そう、だんだんに前向きに捉えられるようになっていった。

自分を愛することは、かけがえのないチカラに変わっていくはず

特に好きだったのは、ASMRと呼ばれるジャンルで、その中でも咀嚼音を聞くのが好きだった。食べられなくても食べた気持ちにさせてくれた。ほんとに美味しそうだなぁって何度も思い、食べてみようと思わされた。身体が食べ物を受け付けない状態だったから動画で満たされるのなら使わない手はなかった。食べなくても生きていけないわけじゃない。女の子なら食べないで痩せれるくらいなら、一度は試してみようと思ったことはあるんじゃないかな。でも食べてないと単純に具合悪くなるし風邪も引きやすい。何より体力ないから、すぐへばるようになる。今でも、食べたくないのかもしれないって瞬間もあって、自分をコントロールするのが難しい。私は食べる喜びを忘れないためにも動画を観る時間だけは奪われてはいけない。

そして、自分を愛するための活動も止めてはいけない。それは決してワガママなんかじゃない。自分を愛することは、生きるうえで、かけがえのないチカラに変わっていくはず。

だから信じて、自分を。
愛して、自分を。