結婚は、ゴールではない。

私は、まさにそう思う。10代で結婚しようが、40代で結婚しようが、その先に待っているのは“生活”だ。お互いが自立し、きちんと生活していくことが出来なければ、結婚は続かない。

その上、異なる価値観を受け入れ、認めていくこと。それも必須になる。相手を変えようと思うのであれば、もう離婚するしかない。

結婚当時は忙しくて考えなかったけど、だんだんと悩みだす夫婦の違い

私は、20代半ばで結婚した。それまでそれなりに恋愛してきたし、結婚を意識したこともあった。

しかし、その頃の私は、結婚することがゴールのように考えていたような気がする。第一、結婚してからのことなんて、そこまで気が回らないし、若い内は今を楽しむことに全力投球だ。告白した、付き合った、ふった、ふられた。そのことだけに振り回されていた。

そんな私が2年前に結婚し、突然妻になった。夫と知り合ってから半年、すぐに結婚した。何というスピード婚!

最初の1年ほどは、私も仕事を掛け持ちしたり、結婚式の打ち合わせがあったりと忙しく、バタバタと過ぎていった。そんな中で結婚についてじっくり考える暇はなかった。そして年末に妊娠が分かり、ひどい悪阻で仕事を休み、家にいることが多くなった私は、色々と悩み出すのである。

イライラに心を支配されていた私は「離婚」の2文字が頭を過った

夫は、とにかく外に出たいタイプ。いわゆるアウトドア派だった。対して、私は元々がインドア派な上に、妊娠中でろくに外には出られない。結婚して最初の頃は、この違いがモヤモヤを生み出すなんて考えてもみなかった。

仕事が休みの日には欠かさず遊びに出る夫に、強く言ったこともある。「家で1人心細い妻の気持ちに寄り添えないのか?」「勝手に遊びに出るなら、一体何のために夫婦になったのだ?」と。

こんなにカリカリした妻が家にいたら、夫も家にいたくなくなるはずだろう…と、冷静になった今なら分かるのだが、当時の私は完全に、イライラに心を支配されていた。

そこで思い詰めた私は、勢いで「離婚だ!」と言ってしまおうかと思ったが、それだけはぐっと堪えた。そんなことを言えば、後で絶対後悔する。そんな確信があった。

子供が生まれたら、夜遅くまで遊ぶことは難しくなる。それなら「今が最後だと思って行かせてやることは出来ないか? 私が大人になろう」と考えた。夫は真面目に仕事をしているし、妊婦健診にも連れて行ってくれる。別に毎日飲み歩いているわけでもない。煙草は吸うが、暴力もギャンブルもしない。そう思うと、何をあんなにイライラしていたんだろうと、身体中からしゅるしゅると力が抜けていくようだった。

夫婦でだけど、元は他人。だから「相手の価値観」を認めることが大切

そして、無事子供が生まれ、今では休日に遊びに行くことはあっても、その数は前より減った。あの時「離婚だ!」なんて言わなくて良かったと心の底から思う。

夫婦であっても、元は他人だ。生まれ育った環境も違えば、考え方も違う。そんなふたりの価値観が違うのは仕方ないし、むしろ当たり前なのだ。それを常に頭に入れて、相手の価値観を受け入れ、認める。

「あなたはそういう風に考えているんだね」「私はこう思うのだけれど、さて、お互いの価値観をどうやって擦り合わせていこうか?」こういう話し合いが落ち着いて出来ることが、本当の夫婦なのだろう。

感情任せに言いたいことを一方的に言ったり、怒鳴ったりすることは却って逆効果だ。何も良い結果は生まないし、お互いに不満とやるせなさが残るだけだ。

そして、それはきっと我慢や忍耐とも少し違う。その場ではそれで良いかもしれないが、後でいつか爆発する。そうなってからでは遅い。だから、話し合いが必要なのだ。

私はそのことが分かって、少し成長した気がする。これは結婚していなかったらずっと分からなかったことだ夫と仲が良いと、きっと子供も安心するはずだ。少なくとも、大声で喧嘩する姿を子供には見せたくない。私の両親もそうであったように。