長らく放置していた資格の勉強。
「基本情報技術者試験」
頭の片隅にあった資格勉強を、今年こそ再開して資格取得したい。

「私を育てたい」と私を拾ってくれた上司は、いろはを教えてくれた

今は退職された私の師匠と言ても過言ではない上司と、この資格の取得を約束した。
あれから数年経った今も取得できていない。

今から数年前この業界で食べていくと決めて転職活動をしていた。

就職氷河期で就職活動に失敗。
半年間別の会社でアルバイトとして入ったが、会社に馴染めず悩んだ末、転職活動をすることに決めた。

未経験でIT業界なんて舐めているとは分かっていたが、当時の私は新しいことを身につけたい一心で、未経験でもスキルを身につけられる今の会社に、何とか面接までこぎつけた。

どこにも行き場のない私はとにかく何でもするので、頑張るのでどうか働かせて下さい。
そんな気持ちで面接に望んだことを今でも覚えている。

そんな私を育てたいと言ってくださった上司はあの日、私を拾ってくれた。
IT業界を何も知らない私にネットワークのいろはを教えてくれた。
あのときの私は毎日必死でしがみついていたが、毎日が新鮮で学べることが嬉しくて、時間を忘れるくらい仕事が楽しくて仕方なかった。 これもすべて上司のおかげだ。

上司からの連絡も減り、いつしか成長できていない自分に気がついた

やがて私は自社での研修を終え、出向が決まり客先へ出ることになった。
初めてのことだったので不安でいっぱいだった私に背中を押してくれくれたのは上司の言葉だった。
「お前なら大丈夫だ。でも一人で抱え込むなよ。辛くなったら言えよ。お前はいつも一人で抱え込むからな」
そう言ってくれた。

出向しても一人ではない。
今までどおり頑張って上司のようなエンジニアになりたい。そう思った。

それから毎日忙しく気がつくと客先に出て数年。
資格の勉強を空き時間にやっていたが、中々捗らず、取得できずにいた。

自社へ帰社することもほとんどなく、上司からの連絡も少しずつ減っていった。

会社の飲み会で顔を合わせても以前のように話せない。
私が勝手に気まずくなっていたからだ。
今の客先に出て早2年、新しいことを学ぶというより、同じことの繰り返しで新鮮さは失われていた。いつしか、成長できていない自分に気がついた。

今はまだ合わせる顔がないけれど、いつかきっとまたどこかで会える

そんな私は上司と合わせる顔がなかった。
あのとき、少しでも目を見て話せていたら、後悔はせずに済んだのだろうか。

そうこうしている間に私は別の会社へ出向となり、また新たな気持ちで仕事をすることができた。

そんなある日、上司は急遽退職することになった。
結局最後まで会えなかった。話せなかった。
感謝も伝えられなかった。本当に最低だ。
自分を責めても過ぎた時間はもう戻らない。

そんな私はもう一度初心にかえることにした。
仕事で忙しいと後回しにしていた資格取得。
もう一度勉強し直して今年こそは取得する。
これが2021私の宣言だ。

今はまだ合わせる顔がないけれど、いつかきっとまたどこかで会える。
そんな気がするから、そのときまでにしっかり勉強して立派なエンジニアになって、次会えたとき、成長したなと思ってもらえるように。
次こそは胸を張って上司に会いたい。そう心に誓った。