婚活をしたことがある私にとって、結婚は自然なことではなく、苦労して手に入れたものだ。受験や就活と同じで、ときめきや運命を感じるゆとりなんてなかった。

そんな私の婚活の軌跡を綴り、人はなぜ「結婚したい」のかを考えたい。

マジでやばい!バリバリ20代なのに「モテない」私って……

20代半ばの頃「いい人がいれば結婚したい」程度に結婚願望があった。正直彼氏ができないことに焦りはあるけれど、まだ残された時間があると思っていた。

そんなときに雑誌でおすすめ漫画特集を読んだ。特に惹かれたのは『東京タラレバ娘』。「タラレバばかり言ってたら、こんな歳になってしまった」このフレーズにビビッときた私は、さっそく単行本をレンタル。

感想は「マジでやばい」。やばいのは、漫画の主人公たちのことじゃなくて私。主人公たちは33歳だが、おしゃれで20代のときはそこそこモテたという設定。じゃあ、バリバリ20代なのにモテない私はやばくないか!?

聞くに恋活アプリは危険そうだから、結婚相談所に登録した。登録に勇気とお金は必要だったけれど、出会う男性みんなよい人だった。

しかし、私の印象が悪いのか、なかなか次に進まない。そんなこんなで、1年くらい婚活していたと思う。男性に気に入ってもらえないことで、自己肯定感が下がってしまった。「結婚したい」という気持ちよりも「結婚する」という使命感だけで続けていた。

婚活中の戦友との出会いと「次も会いたい」と言った彼との出会い

ある日、業界の集まりがあった。年齢層の高い集まりのなか、同じアラサーの女性が一人だけいて仲よくなった。彼女に『東京タラレバ娘』をきっかけに婚活をはじめたことを伝えると、なんと彼女もすぐに漫画を読んで結婚相談所に登録してしまった。

彼女とは婚活仲間としても仲よくなって、女子会をするようになった。秋に横浜中華街に行ったとき、占いをした。私は「あなた本気で婚活していないでしょ」と言われた。絶賛婚活疲れの私は、ギクッとした。

彼女は「今年12月には籍を入れるよ」と予言された。そしてなんと、本当に彼女は12月にスピード結婚をしてしまったのだ!

私は「あなた本気で婚活していないでしょ」と言われたことを省みて、婚活への姿勢を立て直した。そうすると、男性から「次も会いたい」と言われるようになった。

そのなかでも、わかりやすいアプローチをしてくれたのが今の夫だ。アプローチして断られたら誰だって辛い。だから、アプローチしてくる勇気と行動力がある彼なら頼りになるはず。そう思って、今の夫と付き合い結婚した。ほかにも自分の性格を補うような長所が、夫にはあると思ったのも決め手だった。

お独りさまを謳歌できる世の中なのに、なぜ人は結婚したいのだろう?

「結婚したい」

特に恋人がいない人に問いたい。まだ見ぬ、あかの他人と暮らすことになぜ願うのか? 結婚した今でも、私はその理由を見つけられないでいる。一人暮らしが寂しかったから? これが一番に思いつく理由だ。

もともと運命の出会いとか、温かい家庭に強くは憧れていなかった。なのに、婚活に20万円以上も費やした。精神的にも疲れた。どこにそんな情熱があったのか、自分でも不思議だ。

しかし、人生の岐路の決め手はそんなものではないだろうか。重要な決断についてよくよく考え抜いても最終的には気持ちが決定打になりがち。そして気持ちに根拠なんてない。

「結婚したい」という気持ち、それはきっと人は独りで生きていけないという本能なのではないか。お独りさまを謳歌できる便利な世の中だ。それでも、昔から密接な集団生活を記憶した本能は私たちの中に在り続ける。

「結婚したい」とは、実はとても“ヒト”らしいことなのかもしれない。