突然なくなるサランラップのように、今に始まったことではない感情が溢れだす。

お正月の親戚の集まりほど億劫なことはない。
姉2人が夫を引き連れてくる。
私は身一つで帰ってくる。
ああだこうだ言わない人達だが、腫れ物の気分になる。
あることないことを言ってその場をやり過ごす。

20代前半の女の子の曲を聞いて、自分自身をなぐさめているアラサー。
まさか、こんなおばさんの心を鷲掴みにしているなんてこの子も思っていないだろうな。

「あの子のあの曲、めちゃ素敵。あんたに聴いてほしい」と母。
勝手に私とその曲を重ねないでほしい。
そんな風に私は映っていたのかと、その曲を聞くたびに主人公になったような気持ちになる。

結婚が全てではない。そんなことは分かっている

「私は結婚できないんじゃなくて、結婚願望があまり強くないんです」なんて言う女を軽蔑していた10代の私。
あんな女には絶対なりたくないと誓った10代の私。
これが、現実。
ちゃんと見ろ、現実。

日本には、世界には、結婚というものにたどり着いている人が山ほどいる。
結婚が全てではない。そんなことは分かっている。でも、納得がいかない。
どうして、普通に人生を歩んできた私が、一般的にはキリマンジャロを登ることよりは難しくない「結婚」にたどり着けないのだろうか。

赤ん坊として産み落とされた段階で振り分けられているのだろうか。
あなたは生涯独身コース。
そんなのフェアじゃない。

モテなかったわけでもないけれど

欠点だらけなのも分かっている。
でもでも、見た目は中の中。
人並みに働いている。
ということは、やはり中身に欠陥あり。

人を寄せ付けないオーラがあるらしい。
それってめちゃマイナスじゃんと、思ったが、今さら誰でもこい!というスタンスには変えられない。

モテなかったわけでもない。
ただただ変な人に好かれる傾向があった。

見た目が全てと豪語する、バツイチの男。
レクサスで現れる、詐欺まがいの男。
見た目は40代後半、自称32歳のアメリカ人。
ハワイの別荘でひっかけようとする、婚活パーティで出会った医者。
大学のセンター試験の失敗をいつまでも引きずっている、末っ子長男。

変な人は変な人を引き寄せるから、結果、自分も変な人なのかもしれない。

占いに騙されるのはもう嫌だ。と思いながら、甘い言葉に頼りたくる。
「今年の4月は運命の人に出会う」
「来月は人生最大のモテ期」
そうやって自分を肯定してきた。保ってきた。

結婚したら分かるようになるのかな。この先も自分も

ものすごくカッコつけだけど、部屋はほどほどに散らかってる方が好きだし、
見た目はそれなりに取り繕ってるけど、すっぴんのほっぺは赤ちゃんみたいに赤ら顔だし、
健康的な体型維持してるけど、身体に悪そうな高カロリーな食べ物めちゃくちゃ好きだし、
頑固だけど、知らないこと教えてくれる人尊敬してるし、
友達少ないけど、数少ない友達を大事にできるし、
一人になりたいときもよくあるけど、一人で何やってるんだろうと思うもこともよくある。

まだまだ分からないことだらけ。
この先も自分も。
結婚したら分かるようになるのかな。
それとも、もっと分からなくなるのかな。