28歳・結婚適齢期真っ只中、結婚願望ゼロだった私は結婚した。
幸せな花嫁さんになるのが子どもの頃からの夢だったとか、親や親戚一同からの無言の圧力だったりとか、日本社会における年齢的ジャッジメントだとか、結婚に対する印象は良いものから悪いものまでさまざま。

大失恋で、ひとりでも人生を謳歌していけるような術を模索していた

かくいう私は、過去に体験した大失恋で心がズタズタになってからというもの、結婚どころか恋愛すらも「もう一生しない!」「独身貴族を楽しむ!」なんて本気で思って、ひとりでも人生を謳歌していけるような術を模索していた。
大失恋の原因となった、前の彼とはダラダラと宙ぶらりんな関係が続いて、心の状態は超絶不健康、それに伴って体重は激減、今振り返ってみると見本のような黒歴史だった。

そこで恋愛は映画の中だけで十分と悟った私だったけど、何故か出会ってしまったのだ。バツイチ、しかも子持ち、しかも外国人、1歳年上の身長の高い彼。
最初は日本語もペラペラで堪能だし、友達になったら面白いかも程度しか思っていなくて、それがまさかゴールインにまで至るなんて、本当に予想外でしかなかった。

周りの声に反発したくなる、放っておけない不思議な魅力が彼にあった

両親からも、友人からも、付き合った時点で彼の条件の悪さから反対の声ばかり。バツイチ子持ちの外国人なんてやめいたほうがいい、傷つくだけだよって。だけど、その声に反発したくなる、放っておけない不思議な魅力が彼にはあった。

彼と出会ってから月日は流れ、遂に婚姻届に署名する日がやってきた。氏名、生年月日、住所...。ペンを持ち自らの意志で記入している最中も実感なんてなくて、でも役所に提出してやっと「あぁ、これから私って既婚者なんだ」となんとなく思った。

あれだけ、恋愛はもう懲り懲り、結婚なんてまっぴらだった私が、ここにきて結婚した理由ってなんだろうと改めて考えてみた。
アラサーになって周りの友人が続々と結婚し、出産し、家族を築いていく姿に感化されたから? 日本社会の結婚しないと負けとされてしまう風潮を感じるようになったから? 彼に養われて毎日自由に過ごしたいから? どれも違う。

周りに何を言われようとも、自分自身が人生の主人公なのだから

結婚したことによって、私が得られたものは3つある。日々の感じることを共有できる心の拠り所が出来たこと、相手がこれまで生きて見てきた世界を私も味わえること、そして何より一人では不可能だったことも二人なら可能にできるパワーを手にしたこと。

いろいろな結婚の形があるこの世の中で、私が今こんな風に感じられるのは、この結婚生活に満足しているからだろう。元々は赤の他人だった人間同士が家族になるのは容易ではないことで、結婚したからといって全ての人が幸せだとは限らない。この瞬間にも、結婚生活に終止符を打としている人たちも沢山いることでしょう。

それでも、結婚するという選択肢が浮かんだその瞬間には、一度流れに身を任せて経験してみることをオススメしたいと思う。結局、周りに何を言われようとも、自分自身が人生の主人公なのだから一度くらい大博打に賭けてみてもいいんじゃないかな。

そんな大博打に賭けたあの頃の私を、今の私は褒めてあげたい。私が座る二人掛けソファの隣でくつろぐ彼を横目に見て、この人とこれから共に人生を歩んでゆける私は幸せだなと、じんわりと心が温かくなるのを感じるから。