服が好きだ。そういう環境にいたからかもしれない。
祖母の影響で、家には服がたくさんあった。私用に買ってもらったものもある。
祖母、母、私と受け継いで使われているものもあり、そういう服はよそ行き用だ。
ここまでもつ理由は、ずばり服が高くていいものだからだ。素材が良いのはもちろん、着ることにも管理することにも慎重になる。それがまた心地よくもある。
一着が高価でも、ここまで使われれば元も取れるというもの。
着ている時の満足感から自分でも数万円するトップスやスカートを買いたいと思っていた。

料理も服も好き。食費を削って装飾品にお金をかけるのも悪くない

決して家は裕福ではないので、他の出費を少なく済ましている。家具家電、調理器具に至っては10年20年と使われているものばかりだ。木や金属は長持ちする。
たまに自分より年上の家具などを見つける。そういう時はさすがに少しは驚いた。
食についてはレトルト食品はまず買わず、見切り品コーナーでも吟味して食材を探している。やはり素材を生かした味が一番だ。自炊ほど安いものもない。
料理も服も好きだから、食費を削って装飾品にお金をかけるのも悪くはないと思っている。
もちろん、時間的余裕があるからこそ言える話でもあるのだが。

そんな私の今年の目標は、装飾品を買わないこと。洋服、靴、鞄、アクセサリーを買わないことだ。
下着や靴下は良いとしているが、それ以外は控える。
あんまり細かく決めしまっても疲れるので防寒具として100均の手袋は購入した。

こんなことをする理由は二つある。
一つは、断捨離をしようとしたがどの服も大切で捨てられなかったからだ。
普段着は古着屋で購入することが多いが、どれも気に入りで手放せなかった。
ならばもう増やす必要はない。量も充分にある。
ひとつひとつを大事に管理し、使いたい。

もう一つは、ものより経験にお金を使いたいと思ったからだ。
生活に困ってはいないが収入がある方ではない。
コロナ禍で外にも出にくいから、その分観光がなくなって困っているところのおいしいものや、その町の歴史を感じられるものを手に入れたいのだ。
本も手元に置いておきたいと思うようになった。もっと読むことの楽しさを知って、コロナがあけたら古本屋へも行きたい。
見た目ももちろん整えたいが、今は現状維持におさえ、中身の詰まった人間を目指している。

知識欲が出てきたので、人間としての深みが少しでも出れば

これまでは困難と向き合い育ててきた個性だけが私の強みだったが、それだけでは大人の女性としては物足りないと思うようになってきていた。
若いとか女性だとか、そんな理由だけで構ってもらえる年齢からもそろそろ外れようとしていると感じる今日この頃だ。
このままではいけない。という危機感よりも、少しでも魅力的な人になりたい。という気持ちの方が強い。
まぁ一番の理由は、今更になって知識欲が出てきたことだろう。
私は興味がないことにはそこまで意欲的にはなれない。
一緒に話していて楽しい人、知的な話ができる人、少ない経験則からだけでなく知識でもアイデアを出せる人になりたい。
人間としての深みが少しでも出ればと思っている。
とりあえずここからという気持ちだ。
そのために知識を増やし、経験を増やすことに時間やお金を使いたいのだ。

とはいえ、装飾品も高価なものは買っても年に一、ニ回くらいなもので、普段は古着屋のセールで一着500円くらいのものを買っていた。
そこまで大きな出費ではなかった。

古着屋の服も、本当に気に入っているのだ。
騙されたと思って古着屋に行ってみて欲しい。
できれば服にこだわる人を連れて。
私も最初はいい服を見つけられなかったが、服に詳しい人と何度か古着屋に行くうちに見つけるコツを掴めるようになってきた。
欲しい服をイメージしてから行くといいかもしれない。
おしゃれさんにも金欠さんにもおすすめである。

それだけの余裕があればいいじゃないか。自分なんて……という人もあるかもしれない。
私も一時は仕事がなく、住む場所こそあれ不安にはなった。
その時は貯金の有無なんて関係なく気持ちは暗くなったし、焦りもあった。
服なんて古着屋でも買ってる場合ではなかった。
お金がないことそのものが重くのしかかり、気持ちは常に陰鬱になりがちだった。
本当に貯金も底を尽きてきたらと思うとぞっとする。
多少の金欠はともかく、明日の暮らしや食べるものにまで不安がある人々に対する支援はもう少しするべきなんじゃないかと思えてならない。
幸い私には家もあり、子供もなく、時給制の仕事も見つかったので今はこのくらいの余裕はある生活ができている。

この先の人生を思えば、あと数年も短いもの。踏ん張ろう

今の生活に感謝し、できることを目一杯しようと思う。
どうせまだコロナとの戦いは続く。
感染症との闘いは個人戦ではない。団体戦だ。
皆が強い意識を持って、それでもたまには外出や買い物でもして気晴らししながらしっかりと感染対策に取り組んで行かなければならない。
嫌になっても、コロナ前よりは頻度は抑えたい。
幸いこの時代には、引きこもってもそれなりの楽しみはあるのだ。
私は今コロナで彼氏と会うこともできないが、暗くなっていても仕方がない。
連絡は取れるのがこの時代のいいところだ。
春になれば何か進展もあると信じて、会える日を楽しみに自分磨きにでも励もう。
暗くなっていても時間は進む。それならば、せめて前を向こう。大事な人生がもったいない。
皆それぞれ大変な思いはしていると思うけど、それを分からずに言うけれど、もう十分頑張っている人もたくさんいるだろうけど、あえて言おう。
頑張ろう。生きていこう。
この先の人生を思えば、あと数年も短いもの。
きっといいことあるから、踏ん張ろう。
皆で笑ってコロナ後を迎えられることを願っている。