「誰からも好かれる人はいない。誰からも好かれる人を嫌う人がいるから」
それが私を変えたひと言だ。
私は他人からの評価が気になっていてひとから悪口を言われているかもしれないと思うと不安で仕方がなくなってしまっていた。
なぜなら、私は自分が人から嫌われるはずがないという自信があったからだ。
私は人たらしだと周りからよく言われる。人の顔色をうかがうというより、ただ話しているだけで誰からも嫌われないオーラを出しているといわれるのだ。
すべての人をよく観察し、それぞれがどのような立ち位置なのか、話し方の特徴や趣味をつかむ。そして少し同意しながら、その人の興味のある分野についての少しの情報をもって話しかけに行くのだ。
大体の人は自分の得意とする分野について、褒められたり、質問されたりすると喜ぶ。20年間、大人から見ればまだまだ若造のくせに何を言っているのだと思われるかもしれないが、そうやって生きていた。誰からも嫌われない、悪口も言われない人になるために。
いつの間にか「誰からも嫌われない」外面を維持することに必死だった
世渡りがうまく、かといって周りの人に世渡りがうまいと気が付かれないように、注目を適度に浴びながら、誰からも嫌われず、友達も恋人も家族にも恵まれて毎日を過ごす。それが私の目標だった。
しかし、「みんなから好かれているね~」といわれることが増えてから目標を達成しているはずなのにその外面を維持することに必死になってしまっている自分がいた。
人は本当に欲張りだと思う。誰にも嫌われていないことに固執して、自分を好きになることができなくなっていた。
このひと言を言ってくれたのは母だ。
普段自分のことをあまり話さない私は、褒められると思って自慢げに母に「悪口を言われたことがない」と伝えた。
「誰からも好かれる人はいない。誰からも好かれる人を嫌う人がいるから」母にこういわれたとき私はずっと自分のことが嫌いになっていたことにようやく気が付いた。
周りの人が思っている私の人物像を好きになろうと必死だったのだ。それは嫌だと心から思った。どんなに人から好かれていても、自分が自分を嫌いなんて悲しすぎると思った。
合わせるのではなく、自分の気持ちをありのまま伝える
それからの私は、他人を傷つけないことは大前提として、自分の素直な気持ちを話せるようになった。その人に好かれようとその人の情報を収集してから接するのではなく、ありのままの自分でそのままぶつかってもいいのだと考えられるようになった。
小さな事かもしれないが私にとっては生き方や人との接し方を変える大きな一歩であった。
そのように生き方を変えてから、その人に合わせるのではなく自分の気持ちを言える人のほうが重宝されるし、世の中で活躍できるのだと感じた。
自分の気持ちや考えをしっかり持つことで、いろんな人から尊敬すらも集めることができるのだと気が付いた。
私はかつての自分の様に、誰からも好かれ、悩みなどなさそうにいつも笑顔でいる子の苦悩にも気が付く人間になりたいと考えるようになり、先生になりたいという夢を持つことができた。
この一言は私の生き方を変えただけではなく、将来の夢までもくれたのだ。
自分を愛することを一番に考えてほしい。これを読んでいる同じ悩みを抱えた誰かにこのメッセージが響くことを願っている。