ヨーロッパに留学中の私は、コロナの影響をもろに受けてきた。
ヨーロッパでの感染拡大が始まった2020年の3月。私は駅のホームで知らない男の人に追いかけられるという、恐ろしい経験をした。ヨーロッパで、やはり東アジア人の容姿は目立つ。その日のうちに飛行機を取って身の安全を優先し、逃げ帰る様に日本に帰った。

ヨーロッパに再び戻った頃、同じ寮の住民が「コロナテスト陽性」と連絡があった

空港まで両親に迎えにきてもらい、二週間は自宅で待機した。大学もそれから一ヶ月ほどは完全にストップし、しばらくして授業はオンラインで再開した。6月ごろから対面の授業も再開され、私はヨーロッパに再び戻った。それから感染者の増減に伴い、色んな規定が随時変更されていった。
しかし、少しずつこの不便な状況に慣れてきた頃、また嫌なことがあった。

同じ寮の住民の一人が「コロナのテスト陽性だった」と連絡があった。ショックだった。
私は、年末年始の間を、最悪の場合を考えて寮の中でも、他の子達と会って話したり、食事したりするのも出来る限り少なくして孤独に耐えていた。しかし、一人がかかってしまった。私は陽性になってしまった彼とも長いこと話したりはしていなかったのだが、9人が住む私の寮は全員が自己隔離することになった。他の子達は濃厚接触になってしまうので、私だけが免れることはない。

「なぜ早く伝えなかったのか」。私は仲間に責め立てられて、苦しい思いを知った

困ったことは、私はその知らせの直前と前日に、出かける用事があって数人と会っていたのだ。私自身は体調も万全だったし、彼とは濃厚接触ではなかったので、少し伝えるかどうか悩んでしまって、会っていた人達への連絡が遅くなった。パニックになるかもしれないとも思ったけれどやはり連絡したほうがいいと思い、チャットグループに正直に連絡を入れた。

すると、まず「なぜ早く伝えなかったのか」と問われた。
確かに遅かった。知ってから1日経ってしまっていた。次に、テストは受けたのかと問われた。知らせは土曜日の午後だったし、日曜日は病院は閉まっているから答えは「NO」だ。すると、「私たちの安全の保障のためにも今すぐテストを受けるべき」だと言われた。確かに伝えたからには、安心させるべきだと思う。他にも色々私がいかに重大な罪を犯したのか数人から責め立てられた。

その時、コロナという脅威がすぐ近くまで来ている恐怖を抱えて物凄く落ち込んでいたから、追い討ちをかけるように仲間に責め立てられて苦しくなった。今でも胸が苦しい。誰も私が大丈夫なのかと聞いてくれる人はいなかった。こんなに苦しい思いを、医療従事者の方たちは、2020年の春からずっとしているのかと思った。

当たり前ではない日常。誰のことも責めていい訳ではない

新型コロナウイルスが流行り始めてからテレビやネットのニュースで、コロナによる差別が発生していると目にしてきた。
例えば感染した人や、医療従事者及びその家族に対してだ。この地球上で感染者は日々増え続けていて、コロナは遠い話ではないのである。そして人は誰のことも責めていい訳ではなく、誰もが我慢してじっと受け入れなければならないものなのだと思う。

私も寮で感染してしまった人に対して、責めたい気持ちもあった。
私にも予定があったし、一瞬でそれが全部消えて無くなってしまったからだ。けれど、もし自分がコロナにかかってしまった場合だったらどうしたらいいだろうかと考えた時、また恐ろしくなった。留学中の私は、外国に住んでいるから家族にも助けてもらえないし、二週間も食事をどうやって用意したらいいんだろうか。

この様な当たり前でない日常が続いている今、ナーバスになる気持ちは誰よりもわかるけれど、誰もが感染の可能性を持っていることを忘れてはいけないと思う。悪いのはウイルスという存在だけであり、地球上の全ての生き物が被害者なのだ。今は暗くて寒い冬の夜の様な状況だけれど、きっと優しい春の朝を迎えられる様にじっと待っているしかない。